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コロナ禍“日本人追い出し騒動”の
翻訳記事と、ドイツ在住記者の思い。 

text by

中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/04/15 11:40

コロナ禍“日本人追い出し騒動”の翻訳記事と、ドイツ在住記者の思い。<Number Web> photograph by Getty Images

日本人観客が退出させられたニュースが大きく報じられたが、RBライプツィヒが取った対応についても心に留めておきたい。

改善した姿勢をどれだけ報じたか。

 ミスはないに越したことはない。今回は大きなミスだったかもしれない。

 それでも人間である以上、どうしたってどこかでミスはしてしまう。そのときどういう態度を取り、どういう対応をするのか。さらには、改善の姿勢を明確に見せているのかが大切になる。

 ただ、こうしたいきさつに関して最後まで報じたドイツメディア、日本メディアはどれくらいあったのだろうか?

 ネットワークのグローバル化は、情報収集のスピードをどんどん加速させている。

 アメリカ、ドイツ、スペイン、イタリア、中国、韓国、ブラジル。いまでは、どの国であがったニュースやコラムであれ、すぐに翻訳されて母国語で読めるのが当たり前だ。

日本でもドイツでも同じ実情が。

 アップまでの時間は早ければ早い方がいいとされる。求められるのはとにかくスピード。取材でサッカースタジアムに行けば、試合の流れだけを追う記事を書き上げている記者を何人も見る。

 僕自身もそうした仕事をしたことがあるが、そうなるとハーフタイムにある程度原稿のストーリーを絞り込み、後半途中には目処をつけなければならなくなる。終了前にはほぼ書き終わっていることが求められるのだから、それ以外にやりようがない。

 そして、試合終了のホイッスルが鳴ってからわずか10数分のうちに、早ければ数分のうちにマッチレポートはサイトに上がっていなければならない。日本だけでなく、ドイツメディアでもそうした実情がある。

 関係者から、まずはこのスピードが大事なのだと言われたことがある。

 だから内容的な詳しさはそこまで追求されない。それこそ試合であった事象をほぼ箇条書きのように書き連ねられただけの記事であっても、結果と見出しで興味をひきつけられたら、それなりのPV数を稼ぐことができるのだそうだ。なるほど。

 ただ、試合速報でもない記事にまでスピードを求める風潮があるとなると、少なからず違和感を持ってしまう。

【次ページ】 精査を読み手に丸投げしてないか。

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