ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「足りないものが多すぎる……」
トルシエも絶句のシリア戦敗北の中身。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJFA/AFLO
posted2020/01/14 19:00
結局……初戦のサウジアラビア戦同様、最後まで攻撃面、闘志が見えにくかったU23日本代表。
日本の選手はもっと優れた選手のはず……。
――左サイドの16番(相馬勇紀)も悪くなかったのではないですか?
「個々の選手の良し悪しはあれこれ言えるが……それよりもコレクティブな面での弱さが際立っていた。
私は日本の選手たちを知っている。彼らが優れた選手であることもわかっている。しかし彼らはひとつになってプレーしてはおらずコミュニケーションも欠いていた。
恐らく森保は、最後の5分間に4バックに変えて、前の選手をひとり増やしたことに関しては自信を得たのではないか。戦略面においてプラスアルファをもたらすオプションとなるだろう。
しかし彼は同じリズムでパスを回すことに満足していた。最後の20分間は、もっとリスクを冒すことができたはずだ。アグレッシブに戦いながら、ボールをさらに深く前に運ぶ戦略を彼はとり得た。最後の5分間がそんな時間で、ずっとアグレッシブだった。あの時間帯の日本は、より前がかりになり、かつアグレッシブに戦っている印象だった」
とにかく……闘志がまったくない。
「このチームにはそうしたアグレッシブさと野心が徹頭徹尾足りなかった。ただただ小さくボールを回すことで満足していた。技術的なミスも多く、どのプレーにも個々の選手の持つはずの野心が感じられなかった。
選手たちには試合を仕留めるという気概、どうしても点を入れたいという意志も感じられなかった。精神的に彼らはもっとコンペティターになるべきだったがコンペティティビティはまったく感じられなかった。プレーはしていたが、得点するためのプレーではなかった。
酷い試合だったが、日本はこれから新たな選手を探し出すことができる。これはベストチームではないし、別の選手たちと別のチームでプレーできる。それに監督が情報を得られたという点でポジティブではあった」
――次のカタール戦は日本にとっては消化試合となります。
「だからといって負けるわけにはいかない。負ければチーム内に不安や疑念が生じる。日本には守るべきイメージがある。東京五輪のホスト国という日本のイメージを損なわないためにも、次の試合はよりアグレッシブにプレーをして、この2試合とは異なるイメージを残さねばならない」