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岡田武史に聞く。サッカーを言語で
体系化した「岡田メソッド」の全貌。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/12/23 20:00

岡田武史に聞く。サッカーを言語で体系化した「岡田メソッド」の全貌。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

会長を務めるFC今治がJ3昇格を決めた年の瀬に、自らの理論をまとめた著書を上梓した岡田氏。

アジアへの可能性は凄く感じている。

――FC今治は岡田さんが監督を務めた中国1部(当時)・浙江緑城との太いパイプもあります。提携している浙江緑城、香港のサウスチャイナアカデミーをはじめ、さらにアジアに展開していく考えはあるのでしょうか?

「それはもちろん。アジアへの可能性は凄く感じている。コンサルティング、短期長期の指導者派遣などグローバル事業は活発化させていくつもり。

 我々はまず、『岡田メソッド』を理解する育成コーチの質を上げていくことを考えている。来年はコーチ教育に力を注いでいくことになると思う」

――実際、「岡田メソッド」を完成させてみての感想は?

「本書にも記したプレーモデルは、俺が(指導で)これまでやってきたことだけじゃない。こうあるべきじゃないのかって、自分を超えたものをつくりたかった。テストを繰り返して、そうなったものができたと自負している」

――この本を通じて伝えたかったことは?

「日本のスポーツ界はパワハラ問題が取り上げられたりしたけど、コーチの言うことをそのまま『はいっ!』て聞いて、それで勝ってきたという側面もある。でもね、それだとどうしても限界にぶつかる」

――選手の自立を促さないといけない。

「そう。序文にも書いたけど、これは主体的にプレーする自立した選手を生むためのメソッドだと思っている」

「これ素晴らしいから、パクらせてもらうよ」

――本書では選手同士で意見を交換させて「良かったこと」「悪かったこと」のみならず「次にどうするか」も話をさせています。自立を促すところに重点が置かれています。

「これは早稲田大学ラグビー部の監督だった中竹(竜二)がU-20代表監督のとき、彼の指導を見て、なるほどなと思ってね。次にどうするか、の話をさせるのは凄くいいこと。中竹に『これ素晴らしいから、パクらせてもらうよ』って一応、許可はもらっている(笑)」

――「岡田メソッド」を通じて、これからFC今治がどうなっていけばいい、と?

「メソッドを通して、『今治モデル』と呼んでいる少年から大人までの今治サッカー全体でのピラミッドを、日本一質の高いものにしていく。

 愛媛・今治市は人口減少下にあるけど、子供におけるサッカーの競技人口自体は増えている。メソッドを身につけて自立する選手がどんな活躍を見せてくれるか。選手の自立を促すコーチがどれだけ増えていくか。今から楽しみで仕方がないよ」

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