サムライブルーの原材料BACK NUMBER
岡田武史に聞く。サッカーを言語で
体系化した「岡田メソッド」の全貌。
posted2019/12/23 20:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
岡田武史氏が上梓した『岡田メソッド』(英治出版)にはこう記されています。
プレーや指導、育成など、サッカーにおける様々な要素を言語化、体系化した“秘伝”について、岡田氏に包み隠すことなく語ってもらいました。
3年半かけて完成させた「岡田メソッド」。
日本代表を2度率いた岡田武史が5年前、FC今治の代表取締役に就任したのも、すべてはこれが始まりだったと言っていい。バルセロナのメソッド部長であったジョアン・ビラと出会い、「16歳までに身につけさせる型をつくる」ことを決心した。
完成後も内部だけで共有されていた「岡田メソッド」が、12月に書籍化されて“解禁”となった。これには知的財産権を確保すると同時に、アジアを含めてメソッドビジネスを展開していく狙いもあるという。
約300ページに及ぶ、指導者向けの“サッカー学術書”。
岡田武史が「岡田メソッド」を通じて、伝えたかったこととは――。
16歳までにプレーモデルを身につけさせる。
――あらためて「岡田メソッド」をつくろうとしたきっかけから教えていただけますか?
「日本では中学生くらいまであまり教えすぎずに自由を与えて、高校生になる年齢から戦術を教え込むというのが半ば常識となっていたと思う。
それが、最初にジョアンと会ってスペインの話を聞いたときに『まったく逆じゃないか』と。16歳までにプレーモデル(型)を身につけさせて、そこから自由にすると言うんだから。きっかけはそこだったね」
――メソッドづくりにかかわってきたのは当時の肩書きで言うと吉武博文監督、高司裕也GM、大木武アドバイザー、眞藤邦彦アドバイザー、岡田会長の5人。そして渡辺隆正育成コーチ、橋川和晃グローバル事業部長……侃々諤々(かんかんがくがく)とやってきたわけですね。
「ジョアンと息子さんのフェランのアドバイスもありつつ、最初1年で出来たんだけど、ただ単にバルセロナの真似みたいになってしまっていて、こんなんじゃダメだろう、と」