JリーグPRESSBACK NUMBER
ベルマーレ残留の今、騒動を考える。
美談でなくJリーグが先に進むため。
posted2019/12/25 08:00
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph by
Getty Images
湘南が辛うじてJ1に残留した。
改めて言うまでもなく、今季の湘南は前監督のパワハラ行為が明るみに出た後、みるみる失速。それまで11位につけていた順位も急降下し、結局昇格プレーオフまでもつれ込む苦しい戦いを強いられることになった。
ちなみに発覚前後の成績を比べれば、曹監督が指揮を執った22試合は9勝2分11敗(勝ち点29・得失点-5)。指揮官交代後の12試合は1勝4分7敗(勝ち点7・得失点-18)だった。
今季最終成績は10勝6分18敗(勝ち点36・得失点-23)だから、勝ち点のほとんどを騒動前に稼ぎ、騒動後に得失点を著しく悪化させたことがわかる。
付け加えれば15位の鳥栖とは勝ち点は同じ。得失点差わずか「2」で明暗を分けることになった。勝負の世界に「もしも」はないが、「あんなことがなければ、こんなことにはならなかった」と湘南サポーターが愚痴りたくなる気持ちもわからなくはない。
今回を機に基準を改める必要性が。
もちろん湘南というクラブを擁護することはできない。前監督による行為が「パワーハラスメントに該当する」ことはJリーグだけでなく、湘南も(それぞれが委任した弁護士の判断によって)認めている。
そうした指導を行った曹監督個人も、それを容認し改善できなかったクラブも、さらにはあの指導がパワハラに該当することを認識できず、それどころか称賛さえしていたメディアやサポーターも、今回の一件を機に考えと基準を改めなければならない。
もはや昭和でも平成でもない。現代を生きる一員として、時代に即したスタンダードを早急に身につけなければ、社会から信頼されなくなってしまうだろう。