サムライブルーの原材料BACK NUMBER
岡田武史に聞く。サッカーを言語で
体系化した「岡田メソッド」の全貌。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/12/23 20:00
会長を務めるFC今治がJ3昇格を決めた年の瀬に、自らの理論をまとめた著書を上梓した岡田氏。
日本に合ったものをつくらなきゃいけない。
――どういうことでしょう?
「バルサのプレーモデルは静的、動的と分けていて、我々はそこを真に理解しないまま進めていこうとしてしまっていた。カタルーニャの人の歴史とか文化まで理解しないと、やっぱり真似事になってしまうわけ。それじゃ意味がない。
あくまで彼らのアドバイスはヒントであって、日本に合ったものをつくらなきゃいけないと考えて何回もやり直した。みんなが考えをぶつけて、橋川がそれをうまく整理してくれてからは全体像がバッと見えるようになった。
途中まではまったく見えなくて、体系化するのは無理かもなってあきらめそうになったこともあったよ」
指示が具体的、限定的に。
――実際の内容は本書を読んでもらえればと思いますが、体系化したことで指示も具体的、限定的になっています。
たとえば、「岡田メソッド」では選手が直接ボールに関与する範囲を「第1エリア」、直接、かつ間接的にも関与する範囲を「第2エリア」と区分して定義しています。
本書のなかでは、岡田さんがU-15の紅白戦で指示を出した話が、「岡田メソッド」を導入した場合の変化が分かりやすいと思いました。
まずは、導入以前の話を抜粋します。
<以前なら「センターバックがボールを持ったらみんなそんなに怖がらないでサポートしてやれ。それからしっかり動いて、トップへのパスコースもつくらないと」と言っていた>
それが実際はまったく違ったアドバイスをされたわけですよね。
「実際にハーフタイムで伝えたのは『アンカーが2人とも第2エリアにいるからトップへのパスコースが閉じられている。センターバックが持ったらアンカーの1人は怖がらずに第1エリアに入って(1)のサポートをしろ。センターバックはパスを出したら、すぐにブラッシングでボールを受けて前にフィードをしろ』と」