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柔道グランドスラム「追う立場」が
勝つのを見て思う、羽生結弦の強さ。
posted2019/12/01 11:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
11月22日~24日に行われた柔道の国際大会、グランドスラム大阪は、「2番手」の活躍が目立つ大会となった。
例えば女子57kg級は、去年の同大会で2位だった玉置桃が優勝。世界選手権で銀メダルの芳田司は準決勝で玉置に敗れ、5位にとどまった。
70kg級では11月上旬の講道館杯で2回戦負けを喫した大野陽子が優勝し、世界選手権代表の新井千鶴は3位。
78kg級でも、24歳の梅木真美が決勝で、世界選手権準優勝で5歳年上の濱田尚里を一本勝ちで破った。
男子に目を転じても、100kg級を制したのはリオ五輪銅メダルの羽賀龍之介。世界選手権代表のウルフ・アロンは3位に終わっている。
柔道は、今夏の世界選手権とこのグランドスラム大阪両方を勝ち抜き、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛同を得れば、五輪の代表に内定する規定になっていた。
今大会、4人の世界王者のうち3人が出場し、内定を得たのは素根輝1人のみだった。
「なんとか首の皮一枚つながって」
世界選手権代表以外の選手は、グランドスラム大阪で優勝し、今後の国際大会などでも優勝という結果を積み上げていくしか道はなかった。
優勝した選手たちのコメントにも、それが表れている。
例えば、女子70kg級の大野。
「(オリンピックへ)ぎりぎりのところで、1つも落とせない状況で優勝できたのは、少し次につながると思います」
男子100kg級の羽賀もこう語っている。
「(11月初旬の)講道館杯と、今大会と優勝できたことは、自分にとって大きな収穫なので、うれしいです。なんとか首の皮一枚つながって、また次の大会に選んでもらえたら、準備をして頑張りたいです」