濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
21歳、江川優生が独走の戴冠劇。
K-1戦士は若いほど高レベル?
posted2019/11/28 11:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takao Masaki
K-1の新王者は、東京足立区に住む21歳である。
「POWER OF DREAM」所属の江川優生。今年1月に後楽園ホールをベースとするK-1 KRUSH FIGHTのフェザー級チャンピオンとなり、11月24日にK-1 WORLD GPの同級世界王者を決めるトーナメントで優勝した。キャリア最大の晴れ舞台、横浜アリーナでの2冠達成だ。
高校時代にプロデビューした江川が外国人選手と対戦したのは今回が初めて。「みんな強かったので倒すのが大変でした」とトーナメントを振り返った新王者だが、その闘いぶりは圧倒的だった。
1回戦、ホルヘ・バレラを左ボディフックでKO。準決勝はアーサー・メイヤーをバックキックで悶絶させ、決勝はムエタイのジャオスアヤイ・アユタヤファイトジムをパンチの連打でねじ伏せた。オールKO、しかも全試合1ラウンド決着だった。
同門で共同生活を送るスーパー・バンタム級王者、武居由樹も6月のトーナメントをオールKOで制しているが、費やしたラウンド数は江川のほうが少ない。“1DAYトーナメント3試合をオール1ラウンドKO”は、旧K-1のピーター・アーツ、セーム・シュルトと同レベルの“独走”だ。
新世代が台頭するK-1戦線。
「武居由樹くんや武尊選手のような偉大なスターになりたい」
王者としての抱負を語る姿は、リング上とは打って変わって初々しい。やっぱりまだ21歳なんだな、と少し安心したのだった。
それにしても、今のK-1戦線は新世代の台頭が著しい。チャンピオン8人のうち6人が20代。江川のように10代でプロデビューする選手は当たり前で、登竜門的なイベントであるKRUSHも含め「10代のうちに(高校生のうちに)ベルトを巻きたい」と野望を語る選手も少なくない。
今回のトーナメントに30歳でエントリー、準決勝で敗れた卜部弘嵩は、若い選手には負けられないという気持ちとともに「自分のほうが挑戦者」という心境でもあると試合前に語っていた。それだけ、若い選手が強いのだ。