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柔道グランドスラム「追う立場」が
勝つのを見て思う、羽生結弦の強さ。
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![松原孝臣](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2019/12/01 11:40
![柔道グランドスラム「追う立場」が勝つのを見て思う、羽生結弦の強さ。<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/c/5/700/img_c5641ec579b442b247960efafe1da1ce152915.jpg)
女子70kg級で優勝を果たした大野(左から2番目)。'17年、'18年と世界選手権2連覇の新井は3位となった。
背水の陣に身があったからこそ。
追う立場であり、瀬戸際に自分がいることの自覚があったことがわかる。
そんな背水の陣に身があったからこその優勝と言える。
翻って、追われる立場にあった世界選手権優勝の女子52kg級の阿部詩。
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自身48連勝中だった海外選手を相手に決勝で敗れ、準優勝となった阿部は、「最後にもっと怖がらずに攻められたら」と語っている。敗れることを恐れ、慎重になった面があったのは否めない。
勝てば内定は濃厚と思われていただけに、重圧から守りに入った、とも捉えられる。
それもまた、崖っぷちに立ち、勝つしかない、言い換えれば、勝ちにいくことに集中できる追う立場の強みを示している。
シンプルに追う立場に自分を置けるか否か。追う立場に置ければ、本来の強さを発揮しやすいとも言える。
卓球・平野美宇の敗因とは?
代表争いが大詰めとなっている卓球の女子は、伊藤美誠が代表内定を確実にし、シングルスのもう1枠を平野美宇、石川佳純が競っている。
2020年1月の世界ランキングで決まるが、有効となるポイントで見ると、上位の平野(10295pt)と石川(10230pt)の差は65ポイントと僅差、争いの激しさが分かる(11月時点)。
平野は、先日のT2ダイヤモンドで1回戦負けを喫した。過去、負けたことのない相手だった。
試合後、平野は最終ゲームを振り返り、「負けているときには思い切ってできるのに」とコメントした。試合の中ではリードしたりされたりする局面がある。リードすると思い切りのよさが消えたことが敗因の1つであることを示唆している。