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原辰徳インタビュー(1)「鳴かぬなら鳴くまで待たず選手を替える」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/09/09 11:00
インタビューは監督室で行われたが、機密事項が多いため、写真はNG。撮影はグラウンドやベンチで行った。
理想はレギュラーの固定化だが……。
――そういう1、2軍の頻繁な入れ替えが限られた戦力を補っていく方法ということですね。
「でも日本の場合は落としたときに再登録できるまでに10日間という幅がある。もしこの状況で山本の役割をしていた(田中)俊太(内野手)、増田、若林、この辺が仮にケガをしたら、どうなるの? そうなるとここにいる吉川大幾(内野手)が控えている。大幾はもう守備では使えるようになっている。(8月22日に一軍登録を抹消した)北村(匠巳内野手)もあと2、3日くらいで(再登録が)大丈夫だし、ビアヌエバ(内野手)ももうすぐ準備が整う。そういうのがあるから山本を落とせるとなるわけですよ。
10日間というのは結構、厄介なものでね。それを考えないで入れ替えると、万が一の危機になったときに『エッ!』となるからね」
――もちろん理想はレギュラーの固定ですよね?
「それはもうね、そんな楽なことはないですよね」
「連続試合記録」の意味。
――でも現状の巨人では難しい?
「それと長いペナントレースですよ。疲労をとりながら、溜めることなく、戦いを終え、そして次に向かっていくということが大事だと思います。だから例えば連続イニングとか連続試合の記録というのは、僕にとっては糞食らえで、それはあくまで個人技であって、個人のこと。やっぱり選手にいいコンディションで試合に臨ませる、そこがチームが勝つということでは大事なことです。
だから僕にとってそういう個人記録はあまり関係ない。実際にそういう記録のかかった選手はあまりウチのチームにはいない。ならば無理をするよりは、例えば疲れている、あるいはコンディションがちょっと、というなら今日のゲームは休ませる。あるいは練習を控えさせて試合だけにしよう。そういうことの方が長いペナントレースを制する点においては大事だと思っています」
「選手への接し方は優しくなった」と語った原監督だが、一度、試合に入ると勝つために非情とも言える用兵、采配は前回の監督時代と変わらない。
第2回では今季のポイントとなった岡本和真内野手の「4番降格」と開幕シリーズでの坂本勇人内野手への「送りバント」指令の背景を語る。