プロ野球亭日乗BACK NUMBER
原辰徳インタビュー(1)「鳴かぬなら鳴くまで待たず選手を替える」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/09/09 11:00
インタビューは監督室で行われたが、機密事項が多いため、写真はNG。撮影はグラウンドやベンチで行った。
「決して強いチームではなかった」
――ある意味、強い意志はあるけど、勝つ形はイメージできずに行き当たりばったりで戦い、勝ってきた?
「監督というのは、最初の頃って完成形をどこかに持ちながらやるよね、理想を。でも5月、6月、いろんな選手を使ったじゃないですか。若い選手を含めてね。7月くらいまでそうでしたし、いまもそう。そのとき、そのときの現状でベストな用兵で戦っているだけなんです。しかしこれが本当のベストなのかというと、そこまで安定したチームではない。もう少し簡単にいえば決して強いチームではなかったわけだから。そこはこの先だって、どういう結果になるかも分からない。全てが途中経過であって、終わった時が完成形なんでしょうね」
――それでも4年連続で敗者だったジャイアンツが首位を走っている要因は?
「選手個々にそこそこの力があったことだと思いますよ」
はめ込んだ「パズル」が機能した。
――打線では坂本勇人内野手、丸佳浩外野手を軸にベテランの亀井善行外野手や岡本和真内野手もいる。ただ投手陣はエースの菅野智之の状態がもう一つの時期があり、そこを山口俊を中心にメルセデスや今村信貴、桜井俊貴らでカバーしてきた。苦しんだリリーフ陣では中川皓太が出てきて、デラロサの補強も大きかったですね。
「リリーフ陣もネームバリュー、経験のない人が多いですよね。でも色んな、思い切って僕たちがはめ込んだパズルというものが、頑張って機能してくれていると思います。他のチームだってリリーバーというのはそうそうはね。確かにはまっている時というのは、どのチームもいい投手陣、リリーフ陣ですよ。でもジャイアンツはハマらなくたって、そこそこ戦っているという感じ。ハマるという感じが、我々の中ではないわけだから!」
――そういう投手陣の苦しさを、今季は打線でカバーしてきたように見えますが。
「どちらかといえばそうだと思います。逆に打線が打てないときに、じゃあピッチャーが頑張れたかというと、そこは頑張れていないよね、正直。打線が打てないときには、なかなか0点に抑えて勝ったというのはなかったですね」