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親会社をかえるという鹿島の大勝負。
メルカリから来た新社長が語った事。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byNoriko Terano

posted2019/09/04 11:50

親会社をかえるという鹿島の大勝負。メルカリから来た新社長が語った事。<Number Web> photograph by Noriko Terano

鹿島アントラーズの社長に就任した、メルカリの小泉文明社長。「鹿島アントラーズに足せるものがある」という。

そもそもジーコ招聘が「大勝負」だった。

 社長会見後、鹿島の鈴木満取締役が語っている。

「かつてレオナルドやジョルジーニョを獲得したときもそうだったけれど、勝負に出なければ未来がないという時期がある。2016年にクラブW杯で決勝進出し、昨年はACLで優勝。今、勝負に出なければいけない。今回もそういう時期だったんだ」

 思い起こせば、Jリーグ参入を目指してジーコを招聘したときも「逃れられない勝負時」だったに違いない。周囲には無謀な先行投資に見えたかもしれない。しかし、それをしなければ生き残れない。その覚悟と挑戦が今の鹿島を作った。

「伝統と革新」はスローガンではなく、彼らが歩んだ道そのものなのだ。

 未来を担う小泉社長は、会見最後にこう語った。

「Jリーグでは、若い選手が海外へチャレンジする、海外へ移籍する頻度が上がっている。こういう現状を踏まえると、育成を強化し、選手を生み続けることが継続的なアントラーズの強化に繋がると思っています。当然、選手の獲得も大事だと思いますが、育成をしっかりやることで強いアントラーズの礎を築いていきたい。アカデミーハウスが完成しましたが、ユースへの投資も極めて大事なファクターになるかと思います」

新しいアカデミーハウス、変わらない魂。

 新社長の就任会見後には、クラブハウスの近くにできた、鹿島アントラーズアカデミーハウスの内覧会が行われた。

 鉄筋2階建てで、主な使用目的はユースチームの選手寮となっている。1階にはおしゃれなラウンジ、食堂があり、OBをイメージしたプレー姿のイラストが壁に描かれた廊下。浴槽が3つもある大きな風呂場、10数台の洗濯機と、スパイクや練習着などを乾燥させられる洗濯室もある。もちろんトレーニングルームや、合宿用の多目的ルームやミーティングルームも。

 建物中央には大きな中庭があり、日当たりも良好。この中庭ではバーベキューなどの実施も想定している。

 そして2階は選手たちの居住スペース。アントラーズレッドを施した1階とは打って変わって落ち着いた空間で、すべてが7帖ほどの1人部屋。9月1日からは40名あまりのユース選手が住むという。

 朝食と夕食、そして昼食のお弁当もクラブで提供し、食生活の管理は徹底される。

「プロ意識を養うにはそれに見合った環境が必要」とジーコは以前語っていたが、内覧会の際も「ここに携わる人たちの想いを感じながら暮らしてほしい」と繰り返していた。

 自分のことだけでなく、それ以上に仲間を想うこと。それが鹿島アントラーズなのだと改めて感じた。

「TRABALHO(献身)」 「LEALDADE(誠実)」「RESPEITO(尊重)」

 ラウンジに書かれたスピリッツ・オブ・ジーコの言葉たち。

 この日案内してくれた長石博之は、トップチームのマネージャーを長年務めてきた。アカデミーハウス内を紹介する際、「魂はそのままに」と何度もそう繰り返したが、このアカデミーハウス建設にもそのスタンスは引き継がれていたに違いない。

 住金からメルカリへ。身売りという言葉はそぐわない。ここからの未来もまた、「魂はそのままに」という軸を丁寧に扱い続けてほしいと願う。

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