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浦和・興梠慎三が8年連続二桁得点。
佐藤寿人が語る2人の意外な共通点。
posted2019/09/04 11:30
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Getty Images
大きな故障はほとんどなく、勤続疲労も見えない。肝心の生産効率も高水準をキープ。良質すぎるゴールマシンである。浦和レッズの興梠慎三は9月1日の湘南ベルマーレ戦で今季10点目をマークし、J1史上初となる8年間連続での二桁得点を達成した。
「歴史に名を刻めたことはうれしいけど、僕は個人の記録よりもチームで優勝するために戦っている。Jリーグは厳しい順位にいるけど、ひとつでも上にいきたい」
試合終了間際に追いつかれて引き分けた後味の悪さもあったのだろう。笑みを浮かべたのは一瞬だけ。喜びに浸ることはなく、すぐに気持ちを切り替えていた。
「慎三の話ね。いいですよ」
鹿島アントラーズに在籍していた2012年の11得点に始まり、浦和に移籍加入した'13年以降も途切れることなく、10点以上記録。何よりも試合に出続けることが大事だという。ケガをしない秘訣はない。特別なことはしておらず、好きな物を好きなときに食べている。「体が丈夫なのは親に感謝」と笑うばかり。かつてJ1で7年連続二桁ゴールを挙げたストライカーもこの偉業を称えている。
「僕が言うのもなんですが、相当、大変なことですよ。ケガなくやり続けている慎三(興梠)のタフさがあってこそ。どの監督にも使われるには、それに応じた戦術的な役割もこなさないといけない。鹿島で結果を残し、移籍した浦和でも自分で地位を勝ち取って点を取り続けている」
声の主はJ1通算歴代2位の161ゴールを挙げている、ジェフユナイテッド千葉の佐藤寿人だ。8月のある日、うだる暑さの中で練習試合をこなし、クラブハウスに引き揚げる途中に足を止めてもらった。
大粒の汗をかき、顔には疲労も見えたが、「興梠選手の話を聞きたいのですが」と伝えると、「慎三の話ね。いいですよ」とすぐに相好を崩した。