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11連敗の翌日に「カープ特集」を
発売した、Number編集長の告白。
posted2019/07/11 11:55
text by
宇賀康之(Number編集長)Yasuyuki Uka
photograph by
Kosuke Mae/Sports Graphic Number
ここだけの話、正直言って、こうまで負けが込むとは予想していませんでした。交流戦最下位に終わっても、チーム月間最多勝を記録した5月みたいにまた勝ち出すかも、なんて考えでおりました。ですが、11連敗。で、特集タイトルは「カープに学べ。鯉のレッスン14講座」。そんなカープに何を学ぶっていうんですか? 『ナンバー』、やっちゃったねwww。そういう声が飛び交っていることはもちろん重々承知しています。
だがしかし、ここで敢えて断言したい! たとえ11連敗したって、Bクラスで折り返したって、「カープに学べ」ることは実に多い! と。
では、一体何が「学べ」るのでしょうか? 今特集は、普段の『ナンバー』とは少し毛色を変えて、スタジアムやグッズやファンや美人妻など、グラウンド外の話題もたくさん取り上げています。なぜカープは長い「暗黒時代」を抜け出してリーグ3連覇という偉業を達成でき、多くの人々に愛され続けるのか。その秘密を解き明かし、生きるヒントが詰まった14個の「レッスン」を、駆け足で紹介したいと思います。
鈴木誠也のスター性を感じる時。
<レッスン1「鈴木誠也に『人生』を学べ」>。ここで学べるのは、その「姿勢」です。
たとえば、鈴木誠也選手の魅力について、カープの元監督・野村謙二郎氏が次のように語るくだりから。
「誠也は表現こそしませんが、カープの先人たちの伝統ともいえる、ストイックな部分を受け継いでいます。カープの育成スタイルは、失敗はたくさんするけど『悔しい』とか『情けない』という思いを当事者が感じて、頑張ってくれることに期待するものです」
野球は失敗のスポーツです。誠也選手は失敗した際に味わった悔しさをバネに試行錯誤を繰り返し、日本を代表する4番の地位まで昇り詰めたのです。作家の迫勝則氏も続けます。
「派手なホームランを打った時より、フォアボールや盗塁で地味なつなぎを果たした時に喜ぶ姿が目立ちますし、そういう姿にこそ、チームを背負っている証や、鈴木誠也の持つスター性を感じてしまいます」
チームを背負う者としてぜひとも学びたい「姿勢」の良さ。こちらは、<レッスン2「大瀬良大地に『完投主義』を学べ」>の中で大瀬良投手本人が語る言葉にもビシッと表れます。
「1シーズン先発で投げる以上、すべての試合で完投できるようにと思ってマウンドに上がっています。先発、中継ぎ、抑えと分業制の時代になっていますけど、それでもやっぱり、先発が目指すべきは最後まで投げきることじゃないかな」
「1試合投げ切ってこそエース」。時代遅れのフレーズかもしれませんが、こうした思いを胸に最後まで投げる。その姿勢こそがチームを鼓舞する。これは、佐々岡真司、黒田博樹、前田健太というカープ歴代エースの背中に、彼が学んだ心意気でした。「完投主義」は野球選手以外も使える考え方かもしれません。