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<鯉のレッスン14講座:Lesson 1>
鈴木誠也に人生を学べ。

posted2019/07/11 08:00

 
<鯉のレッスン14講座:Lesson 1>鈴木誠也に人生を学べ。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

PROFILE

photograph by

Nanae Suzuki

24歳の4番打者は今や、名実共にチームの顔となった。多くのファンから応援される“スター性”の源流を辿ると、そこにはカープで育った選手ならではの生き方があった。(Number982号掲載)

「背番号が1になろうと、僕がやることは変わりません」

 2019年。鈴木誠也は前田智徳が引退してから5年間、準永久欠番扱いとして空位になっていた背番号「1」を背負うことになった。

 広島の人たちにとっても、誠也にとっても、神様にも似た存在であった前田の「1」。その継承にオフの間、複数のメディアが誠也に“カープの新時代を担うスーパースター”の像を結ぼうと意図するも、当人の答えはいつもと変わらないものだった。

 3月29日。広島東洋カープとして初の4連覇を目指すシーズンの開幕戦。新井貴浩が現役引退し、丸佳浩が移籍して“V4に陰り”とも囁かれ、超満員のマツダスタジアムには開幕の歓びと不安が錯綜し、独特の緊張感が漂っていた。

 やがてスタメンを告げる「4番ライト、鈴木誠也、背番号1」の名がコールされると、球場の空気はガラリと変わる。

 オーロラビジョンに映し出された3分割の映像は「左――マジメな構えから受け口」「中――腕組み、寄り目、受け口」「右――両目を指で見開き、鼻の穴を親指で広げ、新種の虫のように転げまわる」と、すべてが振り切った変顔で、とどめの決めポーズでは鳳凰さながらに両手を広げた。一昨年、昨年に続く、もはやお馴染みと言ってもいい光景。いや、例年以上にフルスイングの登場だ。

「また今年もやりおった」

「しょうがねぇな、誠也は」

 このわずか10秒足らずの映像で、球場が爆笑に包まれ、雰囲気は一変した。

 誠也は、いつもの誠也だった。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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鈴木誠也
広島東洋カープ

プロ野球の前後のコラム

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