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11連敗の翌日に「カープ特集」を
発売した、Number編集長の告白。
text by
宇賀康之(Number編集長)Yasuyuki Uka
photograph byKosuke Mae/Sports Graphic Number
posted2019/07/11 11:55
5年連続となったカープ特集。今年の表紙は、鈴木誠也、菊池涼介、そしてカープ坊やのスリーショット。
鯉グッズ、松田オーナー、美人妻……。
<レッスン10「カープグッズに『売れる秘密』を学べ」>。その種類や売れ行きばかりでなく、多彩なアイデアで他球団を圧倒するカープグッズ。なぜ鯉グッズはこれだけ売れるのか。機動力、気構え、熱意――。その新しい商品を生み出す「仕組み」には、ビジネスのヒントがたくさん詰まっていました。
<レッスン11「松田オーナーに『恩返し経営』を学べ」>。ここでは、地元への“恩返し”を大切にする松田元オーナーの経営手腕はもちろんのこと、文中で紹介される金井誠太・マツダ元会長のこの名言が印象深い。
「『負け犬根性』があってはいけないということです。(中略)『今に見ちょれ』という気持ちを持つことが、誇り」
<レッスン12>は、「美人妻に『支える力』を学べ」。大瀬良大地選手の妻・浅田真由さんと、上本崇司選手の妻・中原衣美さんのお話は、大変ごちそうさまでした!
<レッスン13「OBに『赤ヘルの伝統』を学べ」>で、金本知憲さんと新井貴浩さん、2人のOBが教えてくれたのは、彼らだけが知る面白エピソードのみならず、チームの内と外から見たカープの強さ、そして、やはり「伝統」の重みでした。
「みんなやっぱり楽をしたいし、やらないといけないなと思っててもついついサボる。だからこそ、チームとしてある程度は導いてやるのも大事。そこを厳しくやるのがカープの伝統よね」(金本さん)
「家族のような一体感があるからこそ、低迷期や我慢した時期があったというのも含めて、全部つながりのある物語になっているんじゃないですかね」(新井さん)
ただし、新井さんがルーキーのときに言われたという「ここはおまえみたいな鼻くそが来るところじゃないんだよ」という言葉は、決して学んではいけません。
「勝負事じゃ、いいときも悪いときもある」
そして<ラストレッスン>は、「カープファンに『恋する情熱』を学べ」。
ベイスターズファンの筆者が思いっきり羨望を交えつつ、広島の街で出会った人々のあったかい「ファン気質」にしみじみ学びます。
「勝負事じゃ、いいときも悪いときもある。勝てば『よかったな、楽しませてくれてありがとな』、負けたら『ああ相手が強かったな』。元々はみんな、野球が好きな友だち同士じゃ」(市民球場時代に左中間応援団を率いていた前康弘さん。表紙の写真を撮影したカメラマン・前康輔さんのお父様です)
勝っても負けても、学べても学べなくても、野球が好きな友だち同士が面白がって語り合える。お読みになって、そんな一冊だったなと思っていただければ、これ以上の喜びはありません。