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今季のカープは「完投数」が急増中。
佐々岡、黒田から大瀬良への継承。

posted2019/07/11 18:00

 
今季のカープは「完投数」が急増中。佐々岡、黒田から大瀬良への継承。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

完全に広島のエースに定着した大瀬良大地。彼には偉大な先輩たちの血が流れている。

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生島洋介

生島洋介Yosuke Ikushima

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Nanae Suzuki

 なかなか連敗のトンネルを抜けられない広島だが、今季の投手成績で明らかに「伸びている項目」がある。完投数だ。Number982号のカープ特集に掲載している大瀬良大地投手インタビューに備え、チーム全体の完投数の推移を調査していると、その変化はより明白だった。

 今シーズン、オールターゲームまでの時点で広島の完投「7」は、12球団で最多。過去数年と比べても、2018年は1シーズンで「3」、2017年は「4」、2016年は「7」と、今季はわかりやすいハイペースで先発投手が完投を遂げているのだ。

 変化のキーマンは、今年二軍から一軍の投手コーチに昇格した佐々岡真司。1990年から2007年までカープのユニホームを着続けた元エースは、キャンプ前の若手投手陣に語ったという。

「先発は完投を目指してほしい。完投までいかなくても、1イニングでも長く投げてもらいたい」

1990年の巨人はなんと70完投!

 その佐々岡が先発投手を務めていたころ、広島には完投数がリーグトップなのが当たり前の時代があった。佐々岡が「13」試合も完投した1999年から、黒田博樹が「8」試合投げきった2002年までは、チームとして「26」「17」「28」「22」で、4年連続でリーグ最多の完投数。

 佐々岡、黒田に加え、高橋建、長谷川昌幸と「5」以上完投する投手が複数揃っていた。登板間隔の長い先発ができるだけ長く投げ、毎日準備をするリリーフ陣を温存するのが、広島の先発投手の務めだった。

 ちなみに、さらにさかのぼって1990年代の記録を見ると、どのチームも「30」「40」の完投はザラだ。斎藤雅樹や桑田真澄らを擁した1990年の巨人にいたっては、1シーズンでなんと「70」完投を記録している。

 やがて投球数を制限する考え方も広まり、2000年代以降は広島の完投数はおおむね右肩下がりで減少してきた。もちろん広島に限った話ではなく、昨年、エース菅野智之を擁して「21」もの完投数を記録した巨人を別にすれば、ここ10年は多いチームでも「14」どまりとなっている。

【次ページ】 広島も2桁完投は2011年が最後。

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