プロ野球亭日乗BACK NUMBER
不可思議に映る投手起用はなぜ?
原監督が下したギリギリの決断。
posted2019/06/28 18:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
「最終的には8月くらいまでに形を作れればいいと思っている。それまでは決して結果に一喜一憂することはないですね」
開幕から度重なる中継ぎ陣の炎上について巨人の原辰徳監督に建て直し策を聞いたのは、交流戦の終盤のことだった。
エース・菅野智之投手の状態に不安があるが、もう1人のローテーションの軸となる山口俊投手、交流戦から先発に回った桜井俊貴投手らの奮闘で、交流戦終了時点で先発陣の防御率はリーグ2位の数字を維持している。
しかしその一方でリリーフ陣は惨憺たる状態だ。交流戦の優勝を争った6月21日からのソフトバンク3連戦では、初戦で満塁弾を浴びた森福允彦投手に宮國椋丞投手、ライアン・クック投手と、登板したリリーフ3投手がいずれも失点しての手痛い逆転負けを食らった。リリーフ陣の防御率3.83はリーグ4位。逆転負けはリーグワーストタイの16試合と、勝てる試合を落としてきた。
しかもこの間にネット裏から見ていても、なぜ、という投手起用は確かにあった。
選手の可能性を伸ばすための起用法とは?
「宮國や田口(麗斗)はもちろん澤村(拓一)や畠(世周)、新人の高橋(優貴)にしても、これくらいの力のある選手なら、自分のポテンシャルを出しさえすればこれくらいの場面も乗り切れるはずだ、という期待は持ちながらマウンドに送り出している」
原監督が投手起用の背景をこう説明したのは、交流戦が始まる前の5月半ばのことだった。すでに中継ぎ陣の不安が露呈し、開幕ダッシュから一転してチームの状態が下降線をたどっていた時期だ。実際に継投の失敗を巡ってネット裏では批判的な声も渦巻いている頃だった。
「でも、それがなかなかうまくいかないケースも多い。理由は何なのか? 根本的な力の問題なのか、経験の問題か、それとももっと他に原因があるのか。
そこをきちっと見極めて……その選手を生かす起用を考えなければ選手の可能性は伸びない。そうしないとチームの戦力、可能性を引き出した十全のチーム運営というのはできないと思っている」
これは投手だけではない。若手野手にしても同じことだった。