プロ野球亭日乗BACK NUMBER
不可思議に映る投手起用はなぜ?
原監督が下したギリギリの決断。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/06/28 18:00
5年ぶりの交流戦Vこそ逃がしたが、首位浮上も達成した原巨人。そのタクトにファンの期待がかかる。
将来の先発候補としてのデラロサ獲得。
ドミニカ共和国出身のデラロサは、2007年にドジャースに入団すると'15年にはダイヤモンドバックスで先発として14勝をマークしている右腕である。
'17年8月に2度目となるトミー・ジョン手術を受け、昨シーズンはそのリハビリのために登板こそなかったが、今季からマウンドに本格復帰すると、ダイヤモンドバックス傘下の3Aでリリーフとして18試合に登板し2勝1セーブ、防御率2.49という成績を残している。
巨人では将来的には先発での起用をにらみながらの獲得だったが、今季に限ってはリリーフでの起用を想定しているという。
「7回以降のパターンの確立ということ。平均球速が155kmで、大森スカウトが観たときも初球は158kmだった」(大塚淳弘球団副代表・編成担当)
ということで……7回か、もしくはセットアッパー候補のスコット・マシソン投手の状態次第ではセットアッパーを任せる候補としての獲得であることが明らかにされている。
“大学ビッグ3”と言われた逸材。
一方の藤岡、鍵谷両投手も、中継ぎを含めたリリーフの補強を狙ってのトレードだった。
藤岡はエースの菅野と同期で、東洋大学時代は明大・野村祐輔投手(現広島)とともに“大学ビッグ3”と呼ばれた左腕。
また、プロ7年目の鍵谷も150km前後の速球とフォークのコンビネーションで日本ハムでは3年連続40試合以上登板している中継ぎのスペシャリストで、早くから補強のターゲットとしてリストアップされていた投手だった。
「両軍にとっていい形になるといいですね。我々も手助けしながら、いいものが出るようにしたい。気分一新。水を得た魚のごとく暴れて欲しい」
トレードが発表されると、こうエールを送った原監督の期待も大きい。