プロ野球亭日乗BACK NUMBER
不可思議に映る投手起用はなぜ?
原監督が下したギリギリの決断。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/06/28 18:00
5年ぶりの交流戦Vこそ逃がしたが、首位浮上も達成した原巨人。そのタクトにファンの期待がかかる。
外部の批判に対してブレないスタンスを。
もちろん選手の力不足という結論に達することもある。そのときは二軍で力を磨かせるしかない。
一軍でも通用するボールを投げながらなかなか結果が伴わない投手については、見切らずに可能性を探ってきた。1度、2度の登板の結果に一喜一憂せず、何度でも様々な場面で起用し続けて適性を探してきた。
それが批判の対象となることもあったが、そういう批判は一顧だにしないのが、この監督の強さである。
「勝負の世界。まず勝つために最善を尽くすのは当たり前だし、勝った負けたは必ず付いて回る。結果についてはみなさんが評価してくれればいい。でも監督というのは勝負をしながら、チームを成長させ続けるという仕事もある。そのことも必ず頭に入れながら戦っているわけだからね」
開き直りではなく、それは信念だった。
ただ3度目の監督就任を果たした今回は、過去2回以上に将来を意識したチーム運営が根底にある。それがここまでのちょっと不可思議にも見えた投手起用の裏側だったのである。
デラロサ獲得と吉川、宇佐見トレードの背景。
今のチームには、絶対的ミッションとして覇権奪回というものがある。そのリミットが冒頭で語った8月というわけだ。そこを1つの区切りとして、そこからはただ勝つことのみを追い求めるチーム運営に舵をきる。
ならばそれまでに、リリーフ陣の陣容を固める必要があった。それが今回の補強だったのである。
まずは6月22日に11人目となる外国人選手として、ダイヤモンド・バックスの3Aに所属していたルビー・デラロサ投手(30)との契約合意が発表された。
さらに26日には日本ハムとの間で吉川光夫投手と宇佐見真吾捕手を出して、藤岡貴裕、鍵谷陽平両投手を獲得する2対2の交換トレードが成立したことがアナウンスされた。