プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“約束を守らない”原辰徳監督。
それでも人が付き、勝負強い理由とは。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/05/02 10:00
ヤクルトに勝利し、ナインを迎える原監督。最近はベンチでも“グータッチ”はしなくなったという。
イチローとの約束も、必要とあらば……。
バリバリのメジャーリーガーだったイチローとの“約束”も必要とあらば反故にすることを厭わない。
そんな掟破りの監督だから、今季の巨人もまさに構想と現実が全く違う形でシーズンが進んでいるのは仕方ない。
3度目の就任を果たした原監督が掲げた今季の巨人の構想で、目玉だったものがいくつかある。
岡本も丸も炭谷も、変えている。
1つは岡本和真内野手を「4番・サード」に固定するということ。
しかしこれは打順こそ4番で不動とされているが、守備位置はキャンプ途中から三塁ではなく一塁に回って、そのまま固定された。
2つ目は丸佳浩外野手の「2番起用」だ。
今やメジャーでは主流になっている超攻撃的オーダー編成の目玉として、フリーエージェントで丸の獲得が決まった直後に掲げた策だった。ところがこれもオープン戦の中盤までだった。2番・丸がなかなか機能しなかった上に、オプションとして考えていた坂本勇人内野手の2番を試すと、これがはまった。
その結果、開幕では丸ではなく坂本の2番を選択した。現在は開幕から1番を打っていた吉川尚輝内野手が怪我で戦線離脱したことで、打順が1つずつ繰り上がって結果的に丸の2番が実現しているが、これも結果としてそうなったというだけなのである。
そうして3つ目は捕手の固定だった。
昨オフにフリーエージェントで炭谷銀仁朗捕手を獲得し、小林誠司、大城卓三両捕手にベテランの阿部慎之助捕手を加えた競争を掲げた。
最終的には阿部以外の3人の中から主戦を固定してシーズンを乗り切る、というのが当初の構想だった。しかも「投手によって捕手を替えるということはしない」と語っていたが、現実は真逆になっている。