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「ボロい」と言われた西武練習場と、
栗山巧、中島裕之……若獅子の秘話。
posted2019/05/02 11:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
2019年6月竣工を目指し、改修工事が行われてきたメットライフドーム周辺施設の完成が間近だ。第二球場の入り口に立つと、その工事の様子が見える。
この半年ほどであれよあれよという間に施工が進み、現在では工事用のフェンスに囲まれた外周を除けば、ほぼ完成し、すでに使用が可能なように見える。寮生の引っ越しや、室内練習場の使用スタート日は未定とのことだが、その外装はこれまでの施設を知る者としては驚くほど近代的でスタイリッシュだ。
新築された新室内練習場は50m×50mと12球団最大規模の広さを持つという。ブルペンが5カ所、バッティング・レーンが4カ所と、どちらも現在の倍以上に増える。
ほかにも選手寮にはウェイト・トレーニングルーム、マッサージルーム、サウナ付き浴室を完備し、見学に訪れたファンがバッティング練習を見ることができるスペースも生まれるという。これはファンにとっても大きな変化だろう。これまでの室内練習場は関係者以外立ち入り禁止の区域にあり、試合後、一旦、グラウンドを離れてしまった選手の練習を見学する術はなかった。
旧室内練習場で最も練習した2人。
ある二軍コーチはこう語っていた。
「選手はファンの方に見られることで、強くなる。ファンに見られている前でへたなプレーはできないし、恥をかけば一層練習に身が入る。どんどん練習や試合を見に来てほしい」
注目される機会が増えることは選手にとっても大きい。
取り壊されることが決まっている旧室内練習場には思い出も多い。筆者が取材をしてきた中で、最も多く室内練習場で個人練習をしていた選手が誰か。記憶をたどってみた。
真っ先に追い浮かぶのは中島宏之(裕之・巨人)と栗山巧だ。どちらも一軍に上がる前の下積み時代、練習場をあとにするのが最も遅かったように思う。