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“約束を守らない”原辰徳監督。
それでも人が付き、勝負強い理由とは。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2019/05/02 10:00

“約束を守らない”原辰徳監督。それでも人が付き、勝負強い理由とは。<Number Web> photograph by Kyodo News

ヤクルトに勝利し、ナインを迎える原監督。最近はベンチでも“グータッチ”はしなくなったという。

約束を守らないのに首位争い!?

 開幕から菅野智之投手と山口俊投手の両輪が登板すれば小林、ルーキーの高橋優貴投手やテイラー・ヤングマン投手の時には炭谷、C.C.メルセデス投手の時には大城とコンビを組ませている。

 むしろ投手ごとに捕手をシフトして、それが見事に嵌ったことが快進撃の1つの要因ともなっているわけだ。

 こうしてみると原監督の開幕前の“約束”は、ほとんど現実には守られていない。それでも開幕1カ月が経過した巨人は、スタートダッシュに成功して首位争いを演じているのである。

「(判断に)遅れることが最大の悪手」

「チームを動かしていく上で、遅れることが最大の悪手だと思っている」

 原監督と話をしていて、何度もこう語るのを聞いたことがある。

 早め早めに動くことの重要さ。自分の言葉に囚われずに、違う方向に道があると考えたときには迷わずその道に向かって進む勇気を持つことの大切さ――この指揮官が常に心に刻んでいることなのだ。

「監督はずっと3番で使うって言ったじゃないですか!」

 たとえ相手がイチローでも、こう言われることを嫌って決断が遅れることは、原監督にとっては最大の悪手なのである。

 ならば“約束”をしなければいい。

 そう思うかもしれないが、選手は監督が何を考え、自分に何を求め、どういうチームを作ろうとしているのかを必死に知りたがるものなのだ。だから個々の選手に道標は必要であり、だから“約束”は必要なのである。

 その“約束”を実現するために、選手も必死に挑戦する。ただ、現実には難しいと判断したときに、方向転換させる決断をすること。それこそが組織を動かすリーダーにとって最も大事な仕事なのである。

【次ページ】 「いつも組織を新鮮に見ていられる」

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