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ユーベに馴染んだC・ロナウド。
レジェンドも望む23年前の再現。
posted2019/04/10 11:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Itaru Chiba
チャンピオンズリーグ準々決勝が間近に迫っている。
好カード目白押しだが、“CLクラシック”とも呼ぶべきユベントス対アヤックスの対戦は、欧州でもとりわけ注目度が高い。ローマで行われた1995-’96年大会の決勝戦。激闘の末に銀色の優勝カップを掲げたのはユベントスだった。
今季、イタリアの“老貴婦人”はC・ロナウドを獲得し、23年ぶりの悲願成就へ歩みを進めている。
欧州屈指の名門であるユベントスと惑星最高の男ロナウドはどうやって融合したのか。なぜロナウドはすんなりとユーベに順応できたのか。アヤックス戦の勝算は――。
ユーベ史上最後の欧州覇者であるレジェンドOB、モレノ・トリチェッリとアンジェロ・ディリービオの2人に話を聞いた。
ユーべとC・ロナウドの親和性。
「ユーベのロッカールームというところは、厳格で神聖な場所だ。他のクラブとは一線を画している」
23年前のファイナルに右サイドバックとして先発し、120分間を戦い抜いたトリチェッリも、後半途中からパウロ・ソウザに代わって投入され延長戦の最後までピッチを走り回ったディリービオも、そう口を揃えた。
「優れた実力と人格を併せ持つイタリア人選手のベースを作り、チームの基盤を任せるのがユーベの伝統だ。ロッカールームをまとめ上げるために彼らが果たす役割は大きい」(トリチェッリ)
「まとめ役を担う選手のことを“セナトーレ(=上院議員。転じて、重鎮のベテラン選手を指す)”と呼ぶが、現チームでいえば(主将)キエッリーニとバルザーリ、ボヌッチがそれに当たる。新入団選手や若手へのケアは必ず必要だ」(ディリービオ)
ところが、ユベントスとC・ロナウドにそんな気遣いや順応のための時間は不要だった。
トリチェッリは「“組織としてのユーベ”と“個人としてのC・ロナウド”、この両者はとても親和性が高かったからだ」と説いた。