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競技引退の元青学大「若の神」がナゼ日本選手権に? 原晋監督「学生で終わった方がいい」…でも若林宏樹のラストランが熊本になった“不思議な縁”

posted2025/04/16 06:00

 
競技引退の元青学大「若の神」がナゼ日本選手権に? 原晋監督「学生で終わった方がいい」…でも若林宏樹のラストランが熊本になった“不思議な縁”<Number Web> photograph by Satoshi Wada

青学大の山上りで活躍した「若の神」こと若林宏樹。すでに第一線からの引退は表明していたが、ラストランに日本選手権を選んだワケは?

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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Satoshi Wada

 熊本で行われた1万mの日本選手権。今秋に行われる東京世界選手権への選考もかかる大きな舞台だけに、選手たちの白熱したレースが繰り広げられた。実はそこには、年始の箱根路を沸せたあの「神」の姿もあった。すでに第一線を退くことを表明している人気ランナーは、なぜラストランにこの大会を選んだのだろうか。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》

 先頭から2周遅れ。出場選手の中では、最下位だった。それでも日本最高峰の舞台を駆け抜けた若林宏樹(青学大→日本生命)は万感の思いだった。

「夢だった舞台にようやく立てて、うれしかったです。正直、陸上競技でやり残したことはこの日本選手権だけだったので。いちランナーとしての出場だったんですけど、自分なりに競技の締めとして消化できたかなというふうに思っています」

 時折雨脚が強まるなか、トラック25周を走り終えた若林はきっぱりとこう言い切った。その表情は充実感で満ちていた。

箱根路を湧かせた「若の神」ラストレース

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 4月12日の日本選手権1万mは東京世界選手権の日本代表の選考を兼ねて開催され、白熱した優勝争いが繰り広げられた。優勝した鈴木芽吹(駒大→トヨタ自動車)、2位に入った葛西潤(創価大→旭化成)らの先頭集団から若林は2000m過ぎから遅れをとり、終始最後尾を走っていた。だが、そんな彼にはスタンドから惜しみない応援が送られた。

「周りの方々の応援があってこその、この10kmでした。本当に幸せ者だなと思いますし、努力してきた成果だったなと思います」

 その声援や拍手はしっかりと若林の耳に届いていた。

【次ページ】 若林にとって熊本は…「思い出の地」

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