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ユーベに馴染んだC・ロナウド。
レジェンドも望む23年前の再現。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byItaru Chiba
posted2019/04/10 11:30
CLのラウンド16、A・マドリー相手に1stレグを0-2で折り返したユベントス。2ndレグでC・ロナウドがハットトリックを決め、逆転勝利を果たした。
気取らないスーパースター。
昨年の夏、北部の都市トリノにやってきたC・ロナウドはこれまでの誰ともちがっていた。
惑星最大のスーパースターなのに、彼にはまったく気取ったところがなかった。
加入してすぐの頃、練習風景を生中継するTVレポーターの後ろで、カメラに映りたがる地元一般人のようにちょっかいを出してスタジオと視聴者を驚かせたり、レストランの椅子の上に立って一曲歌うという新人選手への“通過儀礼”も率先してやったり、“俺は皆と同じチームの一員だ”というメッセージを積極的に発した。
5度もバロンドールを獲っているのだからお高く気取ってふんぞり返っても誰も文句を言わないだろうに、C・ロナウドはまるで南葛小に転校してきた大空翼のように、朗らかにユーベの世界に溶け込んだ。
トリノの街角で最初に目撃されたのも、星付きのレストランじゃなく庶民的なピッツェリアだったことも地元ユベンティーノたちの好感度を上げた。
「サッカーに集中したいならトリノは理想的な環境だよ。ローマやナポリじゃ周囲が騒ぎ立てて気軽に外も出歩けない生活になるから、プライベートがなくなってストレスがたまる。慎ましいトリノの町の気風は、家族との生活を重視するロナウドにとってとても好ましいにちがいない」(トリチェッリ)
チームメイトを感化させた“CR7”。
C・ロナウドとユーベのスムーズな融合は、当然チームメイトたちへ好影響を与えた。
「日々肉体をトップコンディションに保とうとする彼の姿勢は、チームメイト全員が見習うべき模範だ」(ディリービオ)
「(FWパウロ・)ディバラや(FWフェデリコ・)ベルナルデスキ、(FWモイゼ・)ケアンは、すぐに彼に感化された。彼らはC・ロナウドと毎日触れ合うことで真のワールドクラスへレベルアップしようとしている。グラウンドでの結果はもちろんだが、これもクラブが求めていた“CR7効果”だといえるだろうね」(トリチェッリ)