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メッシ覚醒から始まったバルサ隆盛。
ジュリが語った「幸福な危機感」。
posted2019/04/09 17:00
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph by
Getty Images
ドイツ勢がチャンピオンズリーグのベスト8に1チームも送り込めなかったのは、2005-'06シーズン以来13年ぶりだ。決勝での同国対決(バイエルン対ドルトムント)が実現した'12-'13シーズンをピークに、ヨーロッパ戦線におけるドイツ勢の相対的な競争力が低下した事実は否定できないだろう。主軸の高齢化が進んだバイエルンは過渡期にあり、若手主体のドルトムントはまだ経験が不足している。
厳しい現実を突き付けられたのはスペイン勢も同様だ。まだバルセロナが勝ち残っているものの、レアル・マドリーとアトレティコ・マドリーはそれぞれアヤックスとユベントスに敗れ、ラウンド16で姿を消した。スペイン勢がCL8強に1チームしか名を連ねていないのは、'09-'10シーズン以来9年ぶりである。
他のスペイン勢やドイツ勢にはなく、バルサにあるものは何か。その答えはすぐに出るだろう。
史上最高のフットボーラーであるメッシの存在だ。
メッシのデビュー年、バルサは大改革。
バルサで通算595ゴール(4月8日時点)を積み重ねてきたメッシが、トップチームにデビューしたのは'04-'05シーズン。当時のチームは就任2年目のライカールト監督の下で改革真っ只中にあり、開幕前に大規模な戦力の入れ替えを敢行した。ルイス・ガルシアら主力に加え、長らく一大勢力を築いていたオランダ人選手を大量に放出。エトーやデコら複数の即戦力を迎え入れ、実に6シーズンぶりとなるリーガ制覇を成し遂げた。
ロナウジーニョの誰にもマネできないような妙技、エトーの図抜けた決定力とスピード、デコの攻守に渡る貢献、シャビの巧みなゲームメイク、プジョルの気迫あふれる守備、ライカールトの適材適所の用兵(マルケスのアンカーへのコンバートなど)なども印象に残るが、個人的には開幕前にモナコからやって来たジュリの活躍も忘れがたい。