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ユーベに馴染んだC・ロナウド。
レジェンドも望む23年前の再現。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byItaru Chiba
posted2019/04/10 11:30
CLのラウンド16、A・マドリー相手に1stレグを0-2で折り返したユベントス。2ndレグでC・ロナウドがハットトリックを決め、逆転勝利を果たした。
アヤックスは侮れない。
王とユーベの前に、準々決勝でオランダの雄アヤックスが立ちはだかる。
3連覇王者レアル・マドリーを破り、勢いに乗るアヤックスは19歳の若き主将マタイス・デリフトや21歳の司令塔MFフレンキー・デヨングを筆頭にタレント揃いだ。
若いチームだがゆめゆめ彼らを侮ってはならない、と2人のレジェンドOBは警鐘を鳴らす。
「アヤックス戦は2戦を通じた試合運びが重要になるだろう。守備をどう構築するか、敵陣での得点機をどう活かすか。1人か2人のキー・プレーヤーではなく、チームとして一体となって戦うことが決定的に大事になる」(ディリービオ)
「アッレグリと('96年優勝監督)リッピの2人は、集団のまとめ方に共通点がある。多くの一流プレーヤーを抱えながら全員をプレーさせられないチームでは、レギュラーやサブの垣根を超えて結束させることが何より難しい。この点で彼らの手腕は見事だ。アヤックス戦でも全員の力が必要になる。チームが勝てばそれは個人が勝ったのと同じことだ」(トリチェッリ)
ポルトガル代表として、先月25日のEURO2020予選セルビア戦で右太もも裏を痛めたC・ロナウドは、セリエA3試合を回避しリハビリに専念。
6日のミラン戦に逆転勝ちした後、アヤックス戦へのロナウド招集を問われた指揮官アッレグリは「状態は日に日に良くなっている」と告げ、第1戦でのベンチ入りに希望をもたせている状況だ。
CL優勝がクラブにもたらす重み。
取材の終了時間が迫ってきている。トリチェッリに最後の質問をした。
今季のチームと'96年の優勝チームが戦ったら、勝つのは?
「決まってるじゃないか」と自信たっぷりにトリチェッリは応えた。
「もちろん俺たちさ」
勝った者だけに許されるジョークと高笑いを残して、去り際にレジェンドOBは付け加えた。
「今大会で優勝できることを切に願うよ。もし、タイトルが獲れたら、選手たち一人ひとりやクラブの未来にとって、計り知れない重みをもつことになるのだから」
モレノ・トリチェッリ
'90年代中盤の黄金時代を支えたSB。ユーベでは153試合に出場し、CLに加えトヨタカップやUEFA杯などタイトルを総ナメに。「ユベントスTV」解説者を2年務めた後、昨年から学生向けの就職支援プロジェクト
(https://www.bosch-tec.it/it/allenarsi_per_il_futuro/t_allenarsiperilfuturo.html)に携わっている。
アンジェロ・ディリービオ
'93~'99年にユベントス在籍。“一兵卒”と呼ばれ、ユーベ魂を具現化した不屈のファイターでイタリア代表でも活躍。現在はOBチーム「ユベントス・レジェンズ」での活動の他、この春イタリア郵政省職員による全国選抜チームの監督に就任。