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熊野で再会した創志学園・西純矢。
投球術と変わらぬ野球小僧っぷり。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2018/12/03 08:00

熊野で再会した創志学園・西純矢。投球術と変わらぬ野球小僧っぷり。<Number Web> photograph by Kyodo News

甲子園にも強烈な爪あとを残した創志学園・西純也。来年が早くも楽しみだ。

2日目の投球はまったく違った。

 試合会場になった「紀南高校」のグラウンドのネット裏には、両チームの選手の家族、関係者、近郷近在の野球ファンでびっしり。

 みんな、西純矢を見に来ました、みたいな空気が漂う中、見せてやろうじゃないの! ぐらいの心意気はあったはず。

 そんな気負いもはっきり見えて、しかし実際はなかなか思うに任せないピッチング。悶々とした思いもあったのだろう。4番を託されながら、内野ゴロで全力で走らず、ダグアウトに戻ってきて、ヘルメットもボトンと落っことしたままで……。

 大丈夫かな、と思っていた翌日、日曜日の羽黒戦で、ガラッと違う「西純矢」を見せてくれた。

 抑制された力感。

 そんな表現が近いだろうか。全身にあふれんばかりの気合いをにじませながら、それでいて、強く投げようとし過ぎない。速い球を投げようとし過ぎない。

 だから、しっかり指にかかった速球が打者のスイングを圧倒する。きのうとは真逆のメカニズム。気分よさそうに腕を振って、連投の疲れどころか、今日のほうがぜんぜんフレッシュなピッチングだ。

最大の伸びしろは野球小僧なこと。

 7回を0点に抑えた第1試合のピッチングもすばらしかったが、それ以上にこの剛腕の“伸びしろ”を目の当たりにしたのは、4番・レフトで出場した第2試合だ。

 連係プレーの送球が逸れて、ショートの後方にボールが転がった。

 三塁手が追う手もあった。その時だ。

「オレだー!」とばかりに突進してきたのが、レフトを守っていた西純矢だった。

 深く守っていた。「サード、サード!」と遠くから指示して済ませてもいい位置だったかもしれない。

 それがなんのためらいもなく、ボールが逸れた瞬間に、一目散にレフトから突っ走ってきたから驚いた。

 迷いのない、猛烈な走りっぷりがすばらしかった。

 なんだ、野球小僧じゃないか……。

 うれしかった。野球選手の最大の伸びしろとは、まず「野球小僧」であること。

 きのうはちょっと心配したが、これだったら、もうだいじょうぶ!

 創志学園・西純矢、当たり前だが、まだまだいける!

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