マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
静岡で見つけた才能あふれる高校生。
紅林弘太郎遊撃手と栗田和斗投手。
posted2018/11/26 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Shizuoka Koko Yakyu
1メートル86の大型遊撃手というから、てっきり「強打」の選手だとばっかり思っていた。
それが実際に試合を見てみたら、フィールディングがあんまり上手くて驚いた。
県内の高校野球情報を網羅した雑誌『静岡高校野球』を発行している栗山司さんとは、彼が『野球小僧』の編集部員だった頃からのお付き合いだから、いつの間にかもう10年以上にもなろうか。
今も、仕事でいろいろお世話になっている。
先週、明治神宮大会の神宮球場でばったり顔を合わせたとき、秋の新チームで注目の静岡高校球児は……? そんな話題になって、挙げてもらった投手1人、野手1人が練習試合で当たるという。
アテになる人の「情報」だ。静岡へ向かった。
駿河総合高・紅林(くればやし)弘太郎遊撃手(186cm80kg・右投右打)と知徳高・栗田和斗投手(186cm85kg・右投右打)。2人とも知らない選手だ。
場所は、駿河総合高グラウンド。
3年前、当時のエース・杉山一樹投手(191cm90kg・右投右打)のピッチングを受けたブルペンがなつかしい。今年のドラフト、彼はソフトバンクに2位という高い評価で指名された。社会人野球・三菱重工広島に進んで、3回目の秋だった。
動きがなめらかだから大きく見えない。
フィールディングの上手さに驚いた駿河総合高・紅林弘太郎遊撃手。グラウンドに置いた姿が、そんなに長身に見えないのがいい。
動かしてみるとさらに小さく見えて、言われなければ、せいぜい180cmぐらいにしか見えないのは、極端に足長じゃないのと、動きに柔らかみがあって全身を小さくまとめて動かせるボディバランス感覚に優れているからだ。
スローイングが実にいい。
“草野球”や“お父さんとキャッチボール”出身の選手がどんどん減っている近年、それにつれて、安心してスローイングを見ていられる選手がどんどん減っている。そんな中、高校2年の秋で、しかもこれだけのサイズの遊撃手で、彼ほどスローイングにバリエーションがあって、塁間のスナップスローでも三遊間からのロングスローでも、こんなにストライクばかり投げられる選手はなっかなかいない。
たとえば、練習ボールをベンチに返すような、プレー以外のさりげない送球も、ことごとく相手の胸や顔に返している。