球道雑記BACK NUMBER
あの頃の荻野貴司が帰ってきた!
ロッテの韋駄天が思い出した絶頂期。
posted2017/10/01 08:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
開幕から最下位に低迷した泥沼のチーム状態に、微かな光が見え始めたのは8月3日の北海道日本ハム戦のことだった。
0-2と2点リードされた5回裏、先頭の三木亮、吉田裕太があっさりと倒れると、前日に一軍に帰って来た荻野貴司がこの日2本目のヒットをセンター前へ運んでまず出塁、さらに細谷圭がライト前に運んで1死一、三塁とチャンスを広げると、ここで千葉ロッテのベンチが動いた。
続くバッター角中勝也に対する3-1からの5球目、一塁走者の細谷にまずスタートを切らせると、何かを狙っているそぶりを一瞬見せる。
結果は外角にボールが外れてフォアボールとなったが、後日取材を進めると、このとき千葉ロッテベンチが仕掛けていたのは、一塁走者の細谷をスタートさせ、角中が見逃しまたは空振りでストライクを取られた場合でも、細谷が一、二塁間で挟まれて、俊足の三塁走者の荻野貴司を本塁へ生還させようとするディレードスチールだったことが判明。
打てない中でもなんとかしようとする千葉ロッテベンチの捨て身の意思をそこに感じることが出来たし、シーズン開幕前に、一発長打ではなく、足を使って、点を獲りに行く野球を掲げていた千葉ロッテが“らしさ”を見せ始めた瞬間でもあった。
シーズン前半戦、ほとんど盗塁をしなかったロッテ。
正直なところシーズン前半の千葉ロッテは、あまりにも走らなかった。9月28日現在で記録している69個の盗塁のうち、43個は先のゲームが過ぎた8月になってからのことだ。
さらにデータを紐解くと8月のチーム盗塁が18個、9月も28日現在で25個と明らかな変化が見られる。