球道雑記BACK NUMBER
あの頃の荻野貴司が帰ってきた!
ロッテの韋駄天が思い出した絶頂期。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/10/01 08:00
9月に入ると連勝も増えたロッテ。写真は日本ハムに連勝してファンとタッチをかわす荻野。
9月に入ってようやく回復してきたチーム力。
9月19日の埼玉西武戦でも、荻野は3つの盗塁企図をしており、そのうち2つが成功。
さらにこの日は鈴木大地、中村奨吾も1つずつの盗塁を決めて全部で4つ。
チームの勝敗も9月は28日現在で11勝9敗と、本来の千葉ロッテの姿を取り戻し始めている。9月19日から21日までメットライフドームで行われた2位埼玉西武3連戦では今季初の同一カード3連勝も記録、この1年間低迷を続けてきたチームとは思えない戦いぶりを、ここに来て見せている。
そのキーマンはもちろん先に触れた荻野貴司だ。
「自分の持ち味がなんなのかを忘れかけていたんです」
シーズン前半戦、荻野は不振にあえいでいた。
8月2日に一軍に上がってくるまでは157打数30安打、打率も.191。1、2番打者をなかなか固定出来ない伊東勤監督の苦悩が続いた。
しかし、8月2日の一軍昇格後の荻野は、それまでの彼とはまるで別人のように、打って、打って、走りまくった。
きっかけは今季から戦略コーチとなった石貫宏臣の一言だった。
「バッティングで打てなくて、バッティングのことを考えるのはもちろんいいことなんだけど、荻野の特徴は足だろう。良いときは足でリズムを作っていたんと違うか?」
その言葉が、荻野の胸に刺さった。
たしかに荻野は守りに入っていた。前半戦、打撃不振で苦しんでいたものの、積極的に次の塁を狙う姿勢はあまり見られなかった。
「なかなか打てない時期があって結構バッティングばかりに自分の中で意識が行っていたりして、自分の持ち味がなんなのかを忘れかけていたんです。良いときは塁に出たら積極的に次の塁を狙っていっていましたし(試合の)リズムも作れていたと思うんです」