球道雑記BACK NUMBER
あの頃の荻野貴司が帰ってきた!
ロッテの韋駄天が思い出した絶頂期。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/10/01 08:00
9月に入ると連勝も増えたロッテ。写真は日本ハムに連勝してファンとタッチをかわす荻野。
盗塁に集中し始めると、打撃も不思議に上がってきた。
石貫コーチの助言をきっかけに、荻野は再び韋駄天の如く塁上を駆け回った。
8月は7盗塁、9月は28日現在で9盗塁、全20個の盗塁のうち、じつに8割の16個がこの期間に残した数字だ。さらに記録に残らない走塁でも相手にプレッシャーを与え、自軍の攻撃に流れを呼び込む。
すると悩んでいたバッティングにも光が差してきた。
「走るとやっぱり体が動いてきますし、自分の中で余裕も出てきたり、やっぱりそこが自分の持ち味なので、走ることでリズムも良くなっているのを自分でも感じました」
8月は97打数29安打で打率.299、9月はさらに上昇して(28日現在)79打数29安打で打率.367。パ・リーグ9月、10月の月間MⅤP候補にも名前を連ねている。
全ての運動の基本である「走る」から己を取り戻した。
8月の一軍昇格以降、意識して続けてきたことがある。
試合開始10分前になると、荻野は自軍ベンチから外野ポール付近までダッシュして、軽いウォーミングアップを行う。全ての運動の基本である「走る」ことで、もう一度体を起こし、第1打席から100%の力を出し切ろうと心がけているのだ。
「打撃練習の時間でも外野を今までよりも多めに走ったりしていますし、まずは足を動かさないとって思っています。足は全ての動きに繋がっていると思うので、それをもう一回、見つめ直してやろうかなって」
走ることで、近年悩まされてきた怪我の防止にもつなげようという想いがある。
「試合前のシートノックが終って(試合開始まで)少し時間が空くので、そこで体が固まらないように、柔らかく、もう一度体を起こすのも含めて走っています」