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夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!
済美の応援団には美しい奇跡も……。 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byYukiko Umetsu

posted2017/08/25 07:00

夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!済美の応援団には美しい奇跡も……。<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

名応援曲『ワッショイ!』でアルプスがひとつになった、天理高校吹奏楽部。

試合当日、ジン氏も一緒にトランペットで応援。

 子どもの頃に感銘を受けたという合唱曲の名作『マイバラード』(松井孝夫作詞・作曲)の3連符にヒントを得て、「ここで打てよ早稲田佐賀」「最高の夏にしようぜ!」というフレーズを作り上げた。

「歌詞に唐津という言葉を入れたい」という生徒のリクエストから、「勝たんと唐津に帰れんけん」という歌詞も考え、事前に同校体育館で生徒たちと練習。試合当日はジン氏もアルプススタンドで一緒にトランペットを吹いて応援した。

 残念ながら試合には負けてしまったが、歌詞通り「最高の夏」に鮮やかな彩りを添えた。

吹奏楽部欠席の緊急事態に対し……驚くべき展開が!

次点 済美(愛媛)

 開幕日の第2試合に出場した済美は、雨で試合が1日順延になったことから、吹奏楽コンクールの県大会と重なり、吹奏楽部が来られなくなるという緊急事態に。

 そこで、吹奏楽部OGがツイッターでボランティア応援を呼びかけたところ、同校の卒業生や生徒の家族、さらには一般の吹奏楽愛好家も多数アルプススタンドに駆けつけた。

『ポパイ・ザ・セーラーマン』や『アフリカン・シンフォニー』『狙いうち』など、10曲あまりの応援曲をぶっつけ本番で演奏し、10-4で東筑(福岡)に快勝。

 試合直前に甲子園球場前のスパン(広場)に集合し、終了後は同じくスパンで即解散。

 打ち上げや反省会があるわけでもなく、参加したとあるボランティア奏者は、「皆さん、人助けをして『名乗るほどの者では……』と颯爽と去っていくようでかっこよかったです」と話す。

 甲子園に吹奏楽の演奏は欠かせないため、吹奏楽部がない学校も、友情応援を頼むなどしてなんとかして用意する。今回の済美は、コンクールが重なるといういかんともしがたい事情だったが、頼もしい大人たちの助っ人で応援演奏を乗り切った。

 同様のケースは他にもあり、明徳義塾(高知)も伝統的に大人のボランティアが駆けつけるのが甲子園での風物詩となっている。

【次ページ】 画一化された応援が多い時代に、郷土色を求めて……。

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