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夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!
済美の応援団には美しい奇跡も……。 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byYukiko Umetsu

posted2017/08/25 07:00

夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!済美の応援団には美しい奇跡も……。<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

名応援曲『ワッショイ!』でアルプスがひとつになった、天理高校吹奏楽部。

64歳のOBでも参加できる、天理の伝統的なスタイル。

 吹奏楽部にとって、大切な大会である吹奏楽コンクールと日程がかぶることの多いこの時期、応援をOBに頼ることも多いことから、「いつでもすぐに吹いてもらえるように、あえて新曲を入れない」と、同校吹奏楽部指揮者の吉田秀高氏はいう。

 準決勝にも多数のOBが駆けつけていたが、今回の最年長OBである64歳の松谷一弘氏も、「私が高校生の頃からずっと同じ曲なので、いつでも応援に参加できる。親子2代でトランペットを吹いているが、天理の吹奏楽部で過ごせたのは一生の宝物」と目を細める。

 基本的に3曲しか演奏しないにもかかわらず、何度繰り返されてもまったく飽きることがなく、「応援曲は、多ければいいというものではない」ということを、再認識させられた。

 自分たちのスタイルを決して崩さない伝統応援は、凛として美しく、学校の誇りすら感じた。

青森の郷土色が色濃く反映した応援歌。

2位 青森山田

 回の頭は、オリジナル曲の『OSE-OSE-YAMADA』から始まる。疾走感あふれるファンファーレに、野球部のコールを組み合わせたもので、「押せ押せ山田! 押せ押せ山田! ファイト!(ファイト) ファイト!(ファイト) 押せ押せ山田!」という勢いのあるコールが響き渡る。

 アルプスが一体となるこのかけ声に続いて演奏する『ねぶた節』は、橋幸夫のCD『北回帰線』(2002年)のカップリング曲で、木村隆文・元理事長が橋と友人だったことから応援に取り入れたという。「ラッセーラー! ラッセーラー!」というねぶた祭でおなじみのかけ声が、野球応援にも見事にハマり、今大会でダントツの郷土色が出ていて素晴らしかった。

 同校は早稲田大学の応援曲『大進撃』も使用するが、途中に何度も「山田」コールが入るのが特徴。

 元吹奏楽部で、大の野球応援好きのNHK大阪アナウンサー・山田朋生氏も、最初の赴任地である青森で同校の『大進撃』を聴いて感銘を受けたひとりだ。「何度も山田山田と連呼されるため、いつも自分が励まされている気持ちになった。久々に甲子園で聴けて感激しました」と、感慨深そうに話していた。

【次ページ】 作曲者が、まさかの“吹奏楽ポップスの父”だった!

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