甲子園の風BACK NUMBER

夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!
済美の応援団には美しい奇跡も……。 

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

PROFILE

photograph byYukiko Umetsu

posted2017/08/25 07:00

夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!済美の応援団には美しい奇跡も……。<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

名応援曲『ワッショイ!』でアルプスがひとつになった、天理高校吹奏楽部。

作曲者が、まさかの“吹奏楽ポップスの父”だった!

 同校には、『山高コンバット』というオリジナル曲があるのだが、作曲者を聞いて驚いた。

 吹奏楽界で知らない人はいない、“吹奏楽ポップスの父”こと、作曲家の岩井直溥氏が作ったと聞き、驚きのあまり思わずアルプススタンドで叫び声を上げてしまった。

 初戦では演奏する予定がなかった同曲だが、わたしのあまりの興奮ぶりに、選曲担当の吹奏楽部員が、「次やりましょうか」と急きょ曲を変更して演奏してくださったのだ(ありがとうございます!)。

 初めて聴いた『山高コンバット』は、まさに岩井サウンドそのもの。

 野球ファンの間では、吹奏楽曲の作曲者まではあまり知られていないかもしれないが、甲子園期間中、アルプススタンドから流れない日はない『アフリカン・シンフォニー』をはじめ、人気の『エル・クンバンチェロ』『コパカバーナ』などの楽譜(ヤマハミュージックメディア『ニュー・サウンズ・イン・ブラス』シリーズ)の編曲は、彼によるもの。

 多くの吹奏楽ファンに愛された岩井氏は2014年にこの世を去ったが、彼の作品は、これからもコンサートホールはもちろん、甲子園や全国の球場で響き続けることだろう。

ロッテの有名応援歌ではなく、オリジナルソングを!

3位 早稲田佐賀

 2010年に開校し、初の甲子園出場を果たした早稲田佐賀。

『コンバットマーチ』や『大進撃』、『紺碧の空』など、早稲田大の伝統応援曲を継承しつつ、オリジナルのチャンステーマを引っさげて現れた。作曲したのは、元千葉ロッテマリーンズ応援団長・ジントシオ氏で、同球団の応援曲を多数作ってきたほか、プロバスケットBリーグ千葉ジェッツ公式応援歌や、JリーグSC相模原公式ソングも手がける、応援専門の作曲家としても活動している。

 当初、ジン氏のもとにはSNSを通じて「ロッテの曲を使わせてほしい」と連絡があったが、現在ロッテの曲を使用する学校が多数あることから、オリジナル曲を提案。生徒の意見も取り入れながら、歌詞も考えた。

【次ページ】 試合当日、ジン氏も一緒にトランペットで応援。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
天理高校
早稲田佐賀高校
青森山田高校

高校野球の前後の記事

ページトップ