福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史、久保以外のU-20注目点。
エース小川、中盤、磐田流の指揮官。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAFLO
posted2017/05/19 11:40
15歳の久保に注目が集まるが、内山監督のもとで鍛え上げられたチームは、この世代初のアジア王者に輝いた実績を持つことを忘れてはならない。
原は新潟でボランチではなくサイドバック起用だが。
続いてボランチです。磐田戦では、ガンバでの出場機会が少ない市丸瑞希が長い時間プレーしていました。本番ではホンジュラス戦で先発した坂井大将、原輝綺の3人でレギュラーを争うことになるのかなと思います。
攻撃では前線の小川や岩崎悠人、久保、そして2列目のチャンスメーカーである三好康児と堂安律にどれだけいい形で渡せるか、そして守備ではセンターバックの冨安健洋、中山雄太と連動しつつ素早く攻撃に移れるか。ボランチがどっしりと構えられれば、チーム全体が安定しますからね。ただ磐田戦を見る限りでは、相手に縦パスを入れられるケースがあった。その課題を修正して、後ろを含めた安定感を増していってほしいですね。
3人のボランチ候補の中で、原は所属する新潟でここ最近左サイドバックをやっています。その点については小川と同じ表現になるんですが、どれだけ原が「頭の整理」をできるかが大事になると思います。
本職ではないポジションを経験するメリットとは。
実は僕も、現役時代にはGK以外のあらゆるポジションでプレーしていましたし、デビューした頃は右サイドハーフでしたからね。皆さんの中ではボランチでのイメージが強いだろうし、サイドやストッパーでプレーしていた印象は相当薄いとは思うんですけど(笑)。
ポジションが異なることで、攻守でのリスクのかけ方の判断が少し違ってくる。ただ本職ではないポジションを経験するメリットとして、ボランチに戻った時に「あのポジションの選手は今、こんなプレーをしたいはず」という感じの意図が分かるようになったんですよね。
例えばサイドバックで言うと「せっかくオーバーラップしたんだから、自分を使ってほしい!」というのが身をもって分かりましたね。中盤でずっとプレーしていると、どうしてもサイドバックを“おとり”にして使わないことが多々ある。ただ使われない状況が続くのなら、そこはやはり人間なので「上がってもな……」という気持ちが生まれて攻撃参加の数が減ってしまうのに気づきました。
だからこそボランチに戻った時、サイドバックも生かしてあげよう、とプレーの引き出しを増やすことにつながった。原が本来のボランチに戻ることでその意識が芽生えれば、チームの攻撃にもバリエーションが増えるはずです。