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ショートに、ファーストに、外野でも。
広島の“何色にも染まる男”安部友裕。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2017/05/12 07:00

ショートに、ファーストに、外野でも。広島の“何色にも染まる男”安部友裕。<Number Web> photograph by Kyodo News

5月4日の中日戦、1点リードで迎えた9回の表。ヒットで飛び出した大島洋平が、安部の守る一塁に戻るところでダブルプレーに仕留められ、ゲームセット!

「覇気」は東出コーチと安部の合言葉に。

 翌'15年も一軍26試合出場にとどまり、二軍暮らしは続いた。

 それでも決して下を向かなかった。

 東出輝裕(現打撃コーチ)は安部の弱さを感じとり、二軍でくすぶる姿に「覇気がない」「覇気を出せ」と声をかけ続けた。今では「覇気」は合言葉になった。発する言葉も変わった。ネガティブな言葉はのみ込み、すべてポジティブな言葉を吐くようになった。

 言霊のように、歯車が噛み合い始める。

 '16年は自己最多の115試合に出場。一軍にフル帯同した。今季も、新外国人のラミロ・ペーニャが加わっても、簡単にサードのポジションを明け渡さなかった。今季も順調に出場数を増やし、そして着実に信頼を積み重ねている。

 若手から中堅となり、同世代のタナキクマルとともにチームを引っ張る今でも「覇気」を出しながら若手のように声を出し、はつらつと白球を追う。

「(同世代に)負けたくない気持ちはもちろんありますし、ショートで出たい思いはあります。ただ、まずは試合に使ってもらえるところで全力を尽くすだけ。技術だけでなく、野球人として、監督、コーチにいろんなことを教わっている」

 あの日から始まった安部の新たな野球人生は、まだ始まったばかり――。

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