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鹿島の決壊を防いだ門番・昌子源。
世代交代とタイトル、二兎を追う。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2016/12/02 11:00

鹿島の決壊を防いだ門番・昌子源。世代交代とタイトル、二兎を追う。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

鹿島伝統の「3番」は肉体的にも、精神的にもタフでなければならない。昌子にもその風格が備わってきた。

常勝・鹿島のはずがリーグタイトルから遠ざかった。

 昌子、植田以外にもFWカイオ(現アル・アイン)、MF土居聖真、DF伊東幸敏らを積極起用し、大幅な世代交代を図ったチームがすぐに結果を出せる訳がない。2013、2014年と2年連続で無冠に終わり、2ステージ制となった昨年はファーストステージで8位と低迷。それでもナビスコカップ(現ルヴァン杯)を制し、3年ぶりのタイトルを手にした。そしてセカンドステージも2位と盛り返したが、年間順位は5位とチャンピオンシップ進出はならなかった。

「常勝・鹿島で試合に出させてもらっているのに、この結果は悔しさしかなかった」

 もちろんクラブが掲げる明確な将来のヴィジョンに基づいた故の“産みの苦しみ”であり、昌子に大きな責任があるわけではない。しかし、彼の人間性、そしてクラブへの愛と感謝が、それを是としなかった。

「もう一度強い鹿島になるには、自分がもっと成長しないといけない」

「僕の成長がチームの鍵を握ると常に思っている」

 彼にとってチームを勝たせる選手になることは、明確な義務であった。周りがどんな慰めの言葉や激励の言葉を掛けてくれても、彼の中で生まれたこの想いは不変であり、彼を突き動かす信念だった。

「結果は自分の責任。僕の成長がチームの鍵を握っていると常に思っている。僕がDFラインをまとめていかないと、“常勝・鹿島”は復活しない。それくらいの気持ちでやっている」

 迎えた2016年、リーグ戦でタイトルを獲らなければ、本物の復活はない。「もう何が何でも結果を出す。そのために何をすべきか。どんなときでも考えるようにしている」と、並々ならぬ決意を持った彼は、それをプレーに昇華し、鹿島の最終ラインで鬼気迫る闘争心と高い集中力を示し続けた。

【次ページ】 味方が「もうええって」となるほどのコーチングを。

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