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大谷翔平をどう語れば良いのか!?
プチ鹿島9月のスポーツ新聞時評。
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プチ鹿島Petit Kashima
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/09/30 17:30
![大谷翔平をどう語れば良いのか!?プチ鹿島9月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/700/img_86709030f10123b1fb9912f01d4334b7160655.jpg)
シーズン中で最大11.5ゲーム差からの大逆転劇。優勝を決めた試合では、大谷が1安打の完封劇……あまりにも出来すぎた物語である。
カープを題材に、学校の授業を行なう広島県。
独特な切り口で面白かったカープネタはこれ。
「広島市内の小中学校には『カープ』の授業がある」(日刊スポーツ・9月5日)
広島の小学校では「広島型カリキュラム」というのがあり、「言語・数理運用科」という独自の授業があるそう(2010年以降)。この授業は、さまざまなデータを読み取り、思考し、表現する能力を養うことを目的におこなわれる。
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実はカープのデータは教材にもってこいなのだ。なぜなら過去の「成績」と「観客動員数」のグラフを並べると、成績はBクラスが多いのに、観客動員は右肩上がり。これはなぜ? という。
つまり、成績が悪くても地元のファンは熱心に応援してきたという「読み取り」ができるのだ。うーん、すごい教材だカープ!
しかし今年はペナントレース圧勝により「ファンの応援も熱心で、チームも強い」という完璧なグラフになってしまう。来年は別のデータが必要かもしれない。
たとえば「選手の総年俸と成績の関係」はどうだろう。決して総年俸は高くないのになぜ強いのか? という。ここから「練習量の多さ」、「コーチ陣の創意工夫」、「ドラフトのうまさ」などさまざまな答えが浮かぶだろう。
球団創設5年目にして数々の成果を得たDeNA。
この広島カープに似た「成績」と「観客動員数」のグラフの動きを持っているのが横浜DeNAベイスターズである。
40歳の池田純球団社長のインタビューを読むと(スポーツ報知・9月20日)、5年前の球団創設時から「横浜に受け入れられること。それがないと、プロ野球のビジネスは成立しない」と徹底していたことがわかる。
一例として「球団運営では、無料で子供たち74万人に球団帽を無料配布、本拠地・横浜スタジアムの株式公開買い付け(TOB)、球団オリジナルビールの開発など、新しい挑戦を常に続けた」
この結果、5年目で黒字化が実現し、球団と球場の一体経営も実現した。残るはチームの成績だったが、球団初のCS進出を今年決めた。このフロントがある限り横浜の未来は明るいと確信する。