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クロスプレー規定で野球が変わる?
広島が始めた「ゴロゴー」作戦とは。

posted2016/02/25 11:00

 
クロスプレー規定で野球が変わる?広島が始めた「ゴロゴー」作戦とは。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ヤクルトとのオープン戦で、捕手・中村悠平のタッチをかいくぐってホームインする新井貴浩。こんなシーンが増えれば広島の得点力は向上する。

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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NIKKAN SPORTS

 オープン戦初戦となったヤクルト戦(浦添)に、今季の広島が目指す野球が凝縮されていた。13安打11得点で大勝した爆発力ではなく、1点目と2点目の点の取り方に今季の広島野球を見た。

「100点満点の点の取り方。結果的に大味な試合になったけど、試合展開としてあの1点は大きかった」

 石井琢朗打撃コーチが試合後に評価したのは、0-1から同点に追い付いた3回の攻撃だった。四球で出塁した先頭の鈴木誠也は、暴投で二塁に進塁。打席の田中広輔は追い込まれながら、外寄りの球を引っ掛けるように引っ張った。ボテボテの二塁ゴロで鈴木は三塁進塁。自己犠牲の打撃に、チームメートはベンチの最前列に立って田中を迎えた。

 1死三塁で磯村嘉孝も追い込まれながら、遊撃前にゴロの打球を打ち返した。大引啓次は本塁に投げる素振りすら見せずに一塁へ。(ゴロになると分かった瞬間走り出す)「ゴロゴー」でスタートを切った三塁走者が本塁に帰ってきた。四球に暴投が加わり、2つの内野ゴロで1点を奪った。無安打で同点。

打てないとき、いかに点を取るかが大切。

「打線は水ものだから。打っても3割から4割。打てないときにどうやって点を取るかが大事になってくる」

 昨秋キャンプから石井打撃コーチが言い続けてきたことが結果につながった。

 本塁打や適時打だけが攻撃ではない。どんな形であっても走者を次の塁に進めて本塁にかえせば得点になる。3回の同点劇は見た目に派手さがない。しかし、相手にはボディーブローのようなダメージを与える点の取り方だ。

【次ページ】 勝負強さに必要な、得点のバリエーション。

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石井琢朗
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