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クロスプレー規定で野球が変わる?
広島が始めた「ゴロゴー」作戦とは。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/02/25 11:00
ヤクルトとのオープン戦で、捕手・中村悠平のタッチをかいくぐってホームインする新井貴浩。こんなシーンが増えれば広島の得点力は向上する。
勝負強さに必要な、得点のバリエーション。
昨季広島は本塁打数(105本)も得点数(506点)もリーグ3位で、打率はリーグ5位の.246。勝負どころでの一打に欠き、僅差の試合を落としてきた。簡単に勝負強さを身につけることは容易なことではない。ただ打って得点するだけではなく、得点のバリエーションを増やす工夫も必要になってくる。
石井コーチは昨秋から方法論を選手に伝え、そのためにやらなければいけないことを教えてきた。チームに浸透させてきた成果がオープン戦初戦で発揮された。
「8回の上本(崇司)にしても、バットに当てれば相手がミスしてくれることもある」
石井コーチは1死一、三塁から一ゴロをファンブルして加点した場面を挙げた。簡単に三振するのではなく、何とかバットに当てればどうにかなる。シーズン中でもそれほど多くは見られない得点シーンを、オープン戦初戦で成功体験を得られたことは結果以上に大きな収穫だったと言えるだろう。
クロスプレーの規定変更で突入が増える?
もう1つ。今年の広島野球において重要となるプレーがあった。1-1の同点から勝ち越した4回の場面。2死一塁から松山竜平の右翼線への打球で、一塁走者の新井貴浩は三塁を蹴って一気に本塁をついた。捕手のタッチをかいくぐり、滑り込みながら左手で逆転の本塁生還した。
「昨季までならどうかな、というタイミング。今年はああいうケースで突入というのが、僕でも多くなると思う」
ベテランはそう振り返った。今季から本塁での危険な衝突を避けるための規定が、公認野球規則に追加されるのだ。