プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“ジェラード2世”に“ベイル2世”!?
プレミアの新星たちを見逃すな。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2013/09/24 10:30
ノリッチとの今季開幕戦で、エバートンでの初得点を挙げ喜ぶバークリー。
破格の放映権収入で潤うプレミアリーグには、ここ数年で、即戦力を買い漁るイメージが定着した。国内では、FA(協会)のグレッグ・ダイク新会長が、所信表明演説で「育成不毛地帯」と嘆かれるプレミアの育成事情改善を訴えてもいる。だが今季は開幕直後から、若手が注目を浴びているという吉報が相次いだ。
「超新星」と騒がれているのが、エバートンのロス・バークリーだ。9月6日のW杯予選でイングランド代表デビューも果たし、その将来像は、同郷スターではスティーブン・ジェラード、外国人スターではミヒャエル・バラックと、偉大な攻撃的MF像と重ねられている。
フィジカルとテクニックが共存する19歳は、何よりも若さに似合わぬポジショニングの良さが目を引く。14日の第4節チェルシー戦(1-0)でも、ジョン・オビ・ミケルとラミレスのダブルボランチによる包囲網を巧みにすり抜けては、味方にパスを要求し、決勝点にも絡んでいる。監督が、前任のデイビッド・モイーズよりも攻撃的な、ロベルト・マルティネスに代わったことも、バークリーには好都合だ。新たなトップ下として開幕から先発を続け、押しこまれる時間の長かったチェルシー戦で、攻撃陣では唯一のフルタイム出場だった事実からも、新監督の期待が窺える。
ジョージ・ベストの系譜に連なるドリブラー。
エバートン前監督のモイーズも、若手登用には積極的だった。新任地のマンチェスター・ユナイテッドでは、アドナン・ヤヌセイの出場機会が増えるだろう。
今季下部からトップチームへ昇格した18歳のベルギー人ウィンガーは、後半にプレミア・デビューを果たした第4節クリスタルパレス戦(2-0)で、同じくデビューを飾った母国の先輩、マルアヌ・フェライニを凌ぐ好印象を与えた。
ヤヌセイ投入が、10人の相手を攻めあぐねていたマンUのカンフル剤となったのだ。ボディバランスの良いエレガントなドリブルは、古くはジョージ・ベストの時代から、個人技を堪能してきたマンUファン好み。今季から加入のFW兼ウィンガー、ウィルフリッド・ザハと演じる、若手同士の1軍生存バトルも興味深い。