プレミアリーグの時間BACK NUMBER

“ジェラード2世”に“ベイル2世”!?
プレミアの新星たちを見逃すな。 

text by

山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

PROFILE

photograph byAFLO

posted2013/09/24 10:30

“ジェラード2世”に“ベイル2世”!?プレミアの新星たちを見逃すな。<Number Web> photograph by AFLO

ノリッチとの今季開幕戦で、エバートンでの初得点を挙げ喜ぶバークリー。

3部の経験しかない22歳がブレイク中。

 そのザハを放出したクリスタルパレスでは、後釜として背番号16を受け継いだドワイト・ゲイルが、若手の“サプライズ”になりそうだ。7月にピーターボロから獲得された時点では、3部リーグでの経験しかない22歳に、7億円近い移籍金は高すぎると思われた。しかし開幕後は、先発出場の度に、筆者を含む懐疑的な周囲を見返している。

 パレスが今季初勝利を上げた第3節(3-1)では、持前のスピードでサンダーランドDF陣を苦しめ、ジョン・オシェイを退場処分に追い込んで奪ったPKで、自ら勝越し点を決めた。続くマンU戦でも、惜しくもシュートは外れたが、リオ・ファーディナンドを置き去りにし、両軍を通じて最高の得点機を自身の手で切り開いた。チームには残留争いの泥沼が待ち受けていると思われるが、僅か2年前までセミプロだったゲイルは、プレミアの晴れ舞台でシンデレラストーリーを展開中だ。

 ノリッチでは、約5億円でのネイサン・レドモンド獲得を、クリス・ヒュートン監督自身が「大バーゲン」と評している。バーミンガム(現2部)で育成された19歳は、得点能力の高いウィンガーだ。才能の片鱗を窺わせたのが、第3節のサウサンプトン戦(1-0)。左サイドから切れ込んだレドモンドが、2名のマークを難なくかわし、エリア外からニアポスト下端に叩き込んだ個人技によるゴールが決勝点となった。

経験が問われる守備は若手の台頭が難しいが。

 ヒュートン監督は、古巣で自身が1軍デビューの機会を与えた逸材を、プレミアのピッチで育て続ける意向だ。チームに今季初白星をもたらしたレドモンドには、「スター誕生」に沸くノリッチ・ファンの間で、早くもイングランド代表入りを求める声も出始めた。

 注目の若手が攻撃陣に集中しているのは、守備陣には、実戦経験に伴うノウハウがより重要なことがあるのだろう。ウェストハムのジョーダン・スペンスは、力強い守りを信条とするサム・アラダイス監督向きのDFと思われたが、8月末にシェフィールド・ウェンズデー(2部)へのレンタルが決まった。昨年、イングランドで史上最年少の代表GKとなったジャック・バトランドも、ストーク1年目の出番はカップ戦に限られてしまいそうだ。

 このような守備の若手が抱える“ハンディ”を考慮すれば、海外から買われた戦力ではあるものの、チェルシー入りしたマルコ・ファンヒンケルのプレミア1年目が楽しみだ。

 2試合連続で途中出場というスタートになったが、20歳のオランダ代表MFは、守備能力でフランク・ランパードを凌ぎ、ボールを持てば、ラミレスとミケルにはないレンジの広いパス能力を発揮する。ジョゼ・モウリーニョ監督が、攻撃的スタイル確立への取り組みを推進するのであれば、打ってつけの新ボランチ候補だ。

【次ページ】 世界一高価なサッカー選手、ベイルの二世となれるか。

BACK 1 2 3 NEXT
エバートン
ロス・バークリー
デイビッド・モイーズ
ロベルト・マルティネス
チェルシー
マンチェスター・ユナイテッド
アドナン・ヤヌセイ
マルアヌ・フェライニ
ウィルフリッド・ザハ
クリスタルパレス
ドワイト・ゲイル
サンダーランド
ノリッチ
ネイサン・レドモンド
クリス・ヒュートン
ウェストハム
サム・アラダイス
ストーク
ジャック・バトランド
マルコ・ファンヒンケル
ジョゼ・モウリーニョ
ウェストブロムウィッチ
マチェイ・ビドラ
サウサンプトン
リバプール
ラヒーム・スターリング
ルーク・ショー
アーロン・ラムジー
アーセナル

海外サッカーの前後の記事

ページトップ