プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“ジェラード2世”に“ベイル2世”!?
プレミアの新星たちを見逃すな。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2013/09/24 10:30
ノリッチとの今季開幕戦で、エバートンでの初得点を挙げ喜ぶバークリー。
世界一高価なサッカー選手、ベイルの二世となれるか。
海外から来た若手では、ウディネーゼからウェストブロムウィッチにレンタル移籍したマチェイ・ビドラも、プレミアでの腕試しに挑む。21歳のチェコ代表FWは、ワトフォードにレンタル移籍していた昨季、リーグ戦で20得点を上げ、2部の年間最優秀選手賞に輝いている。スピードとテクニックは、ワトフォードのジャンフランコ・ゾラ監督も認めるところ。右サイドでも仕事ができることから、ウェストブロムでは、新センターFWのニコラ・アネルカとの共存も可能。先発デビューを果たした、先月後半のリーグカップ戦でハムストリングを痛めたが、復帰後は、若手の指導に定評のあるスティーブ・クラーク監督の下で、ステップアップが期待される。
昨季のプレミアで既に頭角を現していた、サウサンプトンのルーク・ショーと、リバプールのラヒーム・スターリングからも、引き続き目が離せない。両ティーンエイジャーにとっては、主力への足場を固める今季となる。攻撃意欲旺盛なショーは、左SBとして開幕から先発を続け、実戦を通じて貴重な守備面でのレッスンを継続中。地元ファンには、世界一高価なサッカー選手となったユースの先輩、ギャレス・ベイル(現R・マドリー)の「二世」として夢と希望を与えている。
スターリングには、1歳下のジョードン・イベに加え、4歳上のビクトル・モーゼスという競争相手が加わった。チェルシーからレンタルで加入したモーゼスは、左サイドで先発した第4節スウォンジー戦(2-2)で、勝ち越しゴールで自身のデビューに華を添えている。但し、モーゼス本来の持ち場が右サイドである点は、左サイドを得意とするスターリングには幸いだ。開幕からベンチスタートが続いたが、見通しは暗くない。本来はトップ下で起用したいフィリペ・コウチーニョをアウトサイドで使わざるをえない、苦しい台所事情を抱えるブレンダン・ロジャーズ監督の願いでもあるのだ。
才能を輩出するウェールズに新たな星が。
最後に、開幕直後には輝けなかった大器に触れておこう。プレミア昇格を果たした昨季のパレスで、チーム内の若手年間最優秀選手に選ばれているウェールズ代表、ジョナサン・ウィリアムズだ。19歳の攻撃的MFには、以前から、同時にユースで育っていたザハ以上の逸材という意見があった。168cmと小柄な体には、2年前のリーグカップ戦で、当時プレミアのウィガンから決勝ゴールを奪ってマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた時点で、体格で勝るDFを物ともしない技術と闘志を秘めていた。それだけに、先のW杯予選で足首に全治3カ月の怪我を負った不運が悔やまれる。
今季のプレミアでは、ウェールズ代表エースのベイルが、24歳の若さにして史上最高の移籍金を置き土産に去った代わり、やはり同郷の22歳、アーロン・ラムジーが、アーセナルのMFとして過去最高のプレーを披露し始めている。気が早いようだが、後半戦には、怪我から復帰する「ウェールズ第3の秘宝」も、数は少ないが光は強烈なプレミアの若手に仲間入りしてくれることだろう。