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オリンピックが「聖地」にやってきた!
今回こそテニスが“記憶に残る”理由。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2012/07/22 08:01
イギリス人選手として74年ぶりのウィンブルドン決勝進出を果たしたアンディ・マリー。死闘の末フェデラーに敗れたが、五輪の舞台で再び「聖地」に帰ってくる。
テニスの聖地にやってきたオリンピック。
もし、ウィンブルドンが会場にならなかったら、ここまでオリンピックにおけるテニスの注目度が上がることはなかっただろう。フェデラー(スイス)が地元イギリスのマレーに勝ったのが7月8日。それからわずか20日間で芝を張りかえ、選手たちを迎える。
テニスは国際的なスポーツだけあって、有名選手は国の「顔」ともなっていて、ナダル(スペイン)、ジョコビッチ(セルビア)、シャラポワ(ロシア)はそれぞれ開会式で旗手を務めることになっている(ナダルは結局、膝の故障が回復せずロンドン五輪欠場が決まった)。
旗手が早々に敗れるわけにはいかない。ウィンブルドンで早い段階で敗退したシャラポワなどは巻き返しを図ってくるに違いない。
今回はウィンブルドンからの流れ、ストーリーがあるのも興味深い。フェデラーが久しぶりに「芝の王者」らしい戦いを見せて王座を奪還したばかりだし、ウィンブルドンで準優勝に終わったマレーには地元の期待がかかる。ジョコビッチも黙ってはいないだろう。
錦織圭、上位進出の鍵はコンディション。
女子は混戦模様か。この一年間、もっとも安定した戦いを見せてきたシャラポワがウィンブルドンで不覚をとったのが、オリンピックには優位に働くと見るが、今年は全仏を制し、「キャリア・グランドスラム」を達成したばかりだから、四大大会との気持ちの兼ね合いが問題になる。
そして日本を代表する錦織圭だが、コンディションさえ整っていれば上位進出の可能性はあると思う。
最終的には、それぞれの選手のオリンピックへの「モチベーション」が鍵になってくるだろう。今回は、ウィンブルドンという舞台が、気持ちに火をつけると信じたい。