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WBCとドジャースで「頼れる仲間かつライバル」ヌートバー&エドマンが進化…大谷翔平ホームラン、山本由伸と千賀滉大好投に埋もれるのが惜しい
posted2025/04/16 06:02

エドマンとヌートバー。ドジャースやWBCで日本人と共闘する2人もまた、メジャーの舞台で輝いている
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広尾晃Kou Hiroo
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Getty Images
日本が久々に優勝したこともあって、2023年3月に行われた第5回WBCは、日本野球史上のエポックになったといえる。「侍ジャパン」のメンバーだった選手は、大谷翔平やダルビッシュ有だけでなく「七人の侍」のような、特別な存在になった感がある。
ドラフト全体243位、じつは知らないヌートバーの経歴
とりわけラーズ・ヌートバーだ。
WBC開幕前には、彼はカリフォルニア生まれの若い外野手にすぎなかったが、母親が日本人だったことで侍ジャパンの一員になり、日本語がほとんどできないにも関わらず切り込み隊長として、目覚ましい活躍をした。
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日本のファンからはミドルネームのTaylor-Tatsujiから「たっちゃん」と呼ばれ、人懐こい性格もあって一躍人気者となり、CMにも出演した。あれから2年「たっちゃん」は、着実に進歩した。そこで、あらためて彼のプロキャリアを振り返ってみよう。
ヌートバーは2018年にドラフト8巡目(全体243位)で南カリフォルニア大からカージナルスに入団した。
ちなみにヌートバーの曽祖父のハーバート・ヌートバーは全米穀物飼料協会の会長を務めた実業家で、レーガン大統領とも交友があり、南カリフォルニア大野球部にクラブハウスの建物を寄贈した。恐ろしく長命で、ヌートバーが大学に入った2016年に108歳で死去した。
指名順位こそ低かったが4年でマイナーを卒業して2021年6月にメジャー昇格。1年目は右翼の控えだったが、2年目は正右翼手となり、1番や6、7番を打った。この時期に侍ジャパンの栗山英樹監督から声がかかり、日本代表の一員となって世界一に貢献した。
〈WBCの成績〉
7試合26打7安0本4点2盗6球6振 率.269
打率こそ高くないが、安打と同じくらい四球を選び、走塁でもチームに貢献。ヌートバーの持ち味がにじみ出た数字になっている。この年、初めて規定打席に到達。打率.261(40位)、主に1番を打って出塁率は.367(11位)、右翼手として4補殺を記録した。
27歳のリーダー格に…今季OPSは.815
24年はスプリングトレーニングで肋骨を骨折し、出遅れたが109試合に出て打率.244、OPS.759を記録した。そして今年2月には年俸調停権を得て年俸76.1万ドルから295万ドル(約4億5700万円)と大幅に年俸をアップ。24歳のスコット2世、22歳のウォーカーと若いカージナルス外野陣にあって27歳のヌートバーはリーダー格と言ってよい。タイトルを取るようなタイプではないが、走攻守でチームに貢献するリードオフマンとして、存在感を高めている。