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小野伸二、代表への想いも募る……。
稲本の運命と交錯したJ復帰の現場。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byKeisuke Koito/PHOTO KISHIMOTO

posted2010/04/02 10:30

小野伸二、代表への想いも募る……。稲本の運命と交錯したJ復帰の現場。<Number Web> photograph by Keisuke Koito/PHOTO KISHIMOTO

「代表に入れないからといって、劣っているとは思わない」

 小野は、チームに馴染み、プレーの質を上げていくことを今、楽しんでいる。ピッチの上でこれだけ笑顔がこぼれるのは、ここ数年なかったことだ。楽しんでいる回数が増えるということは、自分らしいプレーが出来ているというバロメーターでもある。その笑顔が継続していけば、代表に自然と繋がると考えているのではないか。

「今年のテーマは、サッカーを楽しむ。まぁこれは、いつも言っていることだけど、本当にそう思っている。でも、自分のプレーが良くなったところで、代表っていうのはどうだろう。1%でも可能性がある限り、目指すべきものだと思うけど、これから大きく選手を入れ替えることはないし、中盤にはいい選手も多いからね。代表に入れないからといって、俺は彼らに劣っているとは思わないけど……。まぁ、最後まで諦めないでやりますよ。やっぱり、サッカー選手として、ワールドカップには出たい気持ちはありますから」

 小野は、すでに何らかの覚悟を決めているような複雑な表情で、そう言った。

稲本はJ復帰後の試合で改めて小野の怖さを感じた。

 試合後のインタビューが終わり、ふたりは、それぞれのサポーターに向かって走って行った。ともに、温かく迎えられ、拍手が一段と大きくなった。

 スーツに着替えた稲本は、'98年以来の日本での戦いに笑顔を見せた。

「いきなりヘディングでぶつかって、たんこぶが出来て目が覚めた。まぁ伸二が清水で、俺が川崎っていうのは不思議やし、時の流れを感じるね。けど、伸二は凄いわ。清水の攻撃は、ほとんど伸二が起点になっていた。フリーでボールを持つと決定的な仕事をするし、うまいなぁって思った」

 稲本は、改めて小野のプレイヤーとしての恐さを感じたようだった。

 だが、代表でのふたりの立場はまったく異なる。稲本は、オランダ遠征のガーナ戦で、起死回生のゴールを決めるなど、強烈なアピールで代表の椅子を手繰り寄せた。一方、ウルグアイ戦以来、小野の代表復帰のラブコールが盛り上がらないのは、巧さは際立つが稲本が見せたここ一番の勝負強さや結果を出す力を示すことができていないからだろう。

「また一緒に代表でやれたらと思っている」

「まぁ、俺かて、まだ生き残れるかどうか分からないし、伸二は余計しんどいでしょ。攻撃的MFは激戦区やからね。でも、俺らの世代が盛り上げていきたいんで、また一緒に代表でやれたらと思っている」

 マイペースを維持する稲本に対して、ここに来て小野は再び輝きを放ち始めている。ダイレクトパスを始め多彩なアイデアで川崎を翻弄したように、何かを起こしてくれそうな期待感がある。ワールドカップメンバー23名の決定まで残り1カ月半。ワールドカップ4大会連続出場という夢に向けて、小野はその輝きをどこまで強く、大きく発することができるだろうか……。

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