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今季7試合で1勝だけのガンバ大阪。
FW陣総崩れで迎える序盤の正念場。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byHiroyuki Setsuda

posted2010/03/27 08:00

今季7試合で1勝だけのガンバ大阪。FW陣総崩れで迎える序盤の正念場。<Number Web> photograph by Hiroyuki Setsuda

ガンバ大阪を率いて9年目の西野朗監督。Jリーグの監督在任最長期間記録を持ち、Jリーグ最優秀監督賞を2回、AFC最優秀監督賞も1回受賞している名将だが、このピンチをどう切り抜けるのか?

 ガンバ大阪が苦しんでいる。

 23日、ACLのアームドフォーシズ戦を4-2で勝ち、今季の公式戦初勝利を挙げたが、相手は昨年、鹿島が2試合で9-1と圧倒した格下。その3日前に終えたJリーグ第3節となる新潟戦までは、ゼロックス、ACLを含めると公式戦6試合で、勝ち星ゼロの2敗4分だった。リーグ戦に限って言えば、3試合1敗2分でゴール数は2、1試合1点にも満たない。爆発的な攻撃力がウリのチームとは思えない体たらくだ。

 いったいガンバに何が起こっているのか。 

 真っ先に挙げられるのは、FW陣の不調である。リーグ優勝した'05年から遠藤保仁を中心としたガンバの中盤の面子は、ほとんど変っていない。例年、この完成した中盤に新しいFWのセットを組み合せ、試合をこなしながらコンビネーションを整え、チーム力を上げていくのがガンバのチーム作りだった。

日本での実績を重視して成功してきた外国人FW選び。

 そのため、外国人FWは厳選されてきた。基本的に海外から無名の選手を発掘してくるのではなく、日本での実績を重視し、結果を残せると判断した選手のみ獲得した。実際、入団した選手は皆、破壊力抜群の非常に優秀なストライカーだった。

'05年 アラウージョ(大黒将志と2トップ)
'06年 マグノ・アウベス、播戸竜二
'07年 バレー(2トップはマグノとバレー。サブに播戸)
'08年 ルーカス、山崎雅人(2トップはバレーとルーカス。サブに山崎、播戸)
'09年 レアンドロ、チョ・ジェジン(2トップは、レアンドロとルーカス。サブにチョ・ジェジン、播戸、山崎)

 特に、アラウージョは'05年、マグノは'06年に得点王になるなど、ガンバの攻撃陣を引っ張った。彼らのような強力な助っ人がトップを張り、黄金の中盤とタッグを組み、J最強の攻撃を演出してきたのである。

今季は5人の外国人がFWへ集中するという異例の事態に。

 だが、一方で、強力なFWに依存すぎる傾向もあった。'07年にはマグノ、'08年にはバレー、'09年にはレアンドロをシーズン半ばで中東のクラブに引き抜かれた後、ガンバの攻撃の威力は半減した。昨年は、レアンドロを失った後、すぐにペドロ・ジュニオールを新潟から獲得したが、チームにフィットせずに苦しんだ。その反省を踏まえて、今シーズン、新外国人選手の見極めには細心の注意が払われた。そうして獲得されたのが、ゼ・カルロス(ポルトゲーザ)であり、ドド(愛媛・C契約)であった。

 彼ら2人に加え、ルーカス、チョ・ジェジン、ペドロを含む5名の外国人選手がFWに集中するという異例の事態だったが、期待は膨らんだ。なにせ、これまで獲得してきた外国人FWは十分な実績を残し、先読みに大きな間違いはなかったからだ。

 しかし、のっけから誤算が生じた。

【次ページ】 グアム合宿でFW布陣を見いだせなかった理由とは?

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