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長野五輪“あの金メダリスト”がアップルパイ製造の今「収穫から…大変です」 現役スキージャンパー・船木和喜(49歳)が語る「競技普及への献身」
posted2025/03/04 11:05

アップルパイ、サクランボパイの製造・販売事業を行いつつ、スキージャンプの普及活動にも尽力する船木和喜(49歳)の今
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Wataru Sato
1998年の長野五輪で2つの金メダルを獲得したスキージャンパー・船木和喜。現役選手として競技を続けながら、アップルパイなどの製造・販売事業を手掛け、競技の普及活動も……。今年50歳を迎える船木和喜の今に迫る――。《NumberWebインタビュー全4回の最終回/第1回、第2回、第3回も公開中です》
全国各地の百貨店で人気なのは北海道物産展だ。折々に開かれる物産展の店頭で、懸命に商品を売るアスリートの姿がみられる。ノルディックスキー・ジャンパーの船木和喜だ。競技生活をおくる一方で、自身が手がける食品の販売店を出店し、毎年全国を巡回してきた。
昨年の夏から秋にかけては岩手県・川徳百貨店や福岡県・博多阪急など全国を巡り、今年2月26日からは長野県・ながの東急百貨店に出店する。
そもそもなぜ、食品を販売しているのか。
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船木は長野五輪を経て、所属先だった企業を離れ独立。自身の活動を応援してくれるスポンサーを探していた船木は、同時に、各地で活動するジャンプ少年団の活動を支えてくれる企業を探していた。
「飛び込みで営業していました」
アップルパイ、サクランボパイを製造・販売
ある食品会社を訪ねたとき、こう言われたという。
「お金をあげることはできないけれど、餃子の販売権をあげるから、そこで得た利益を使ってみてはどうか」
販売権とは何か? どういう仕組みで運営すればいいのか?
何も分からないところから勉強を始め、2008年、食品販売卸を扱う会社として「えにし」を設立。各地で行われる物産展などに出店し、餃子のほかコロッケやドーナツなどを販売、その収益の一部を育成事業にあてた。
やがて商品開発もスタートした。